ブックマーク / tamokuteki.hatenablog.com (2)

  • いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう - 多目的トイレ

    朝から話をはじめよう。すべてのよき物語は朝の薄明の中から出現するものだから。 早朝の風景には綺麗な物と汚い物が混在している。綺麗な朝焼けと朝もやの中に堆くゴミが積み上げられている。表裏一体のその危うさは深い慈しみがある。 ター ミナル駅からほど近い場所にあるパチンコ屋。開店を待つ行列はどこか汚い。早朝からパチンコ屋にならぶ熱心さは素晴らしいが、やはりクズと言うしかない。 心持ちが汚いのだ。さらには外見的にも殆どの人間が黒か茶、くすんだ色合いで、この風景を撮影してプリントアウトしたら黒系のインクばかり減りそうな勢い なのだ。 この世で最も汚い行列のためか近隣住民から苦情でもきたのか、いつしか店からの指導で行列はパチンコ屋が入るビルの地下道に移されることになった。雨風もしのげ、通行人の視線も気にならない名采配である。誰もがそう思った。 悪 いことに、その地下道にはオシャレなオープンカフェがあっ

    いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう - 多目的トイレ
  • おしっこを買いにいった秋山くんの話 - 多目的トイレ

    一緒におしっこを買いに行かないか。 この世の中にはいろいろな人がいる。それこそ多種多様で、その様々な人が様々な経験をしているのだから誰かの興味を惹く逸話が数多く生まれているわけだ。 けれども、そんな多種多様の経験の中でも「友達に誘われておしっこを買いに行った」経験がある人はそうそういないはずだ。今回はそんなお話だ。 秋山君は気の弱そうな青年だった。同じ大学の同じ学部、けれども学科が違うので講義で一緒になることはない、そんな関係性だった。ただ、お互いに喫煙者だったので、講義室の前に置かれた灰皿の場所でよく一緒になったものだった。 秋山君はそんなものどこで売ってるんだと言いたくなるような、魔女が吸ってるみたいな、ちょっと擦れた「中身おっさんだから」と言い出しそうな20代後半のOLが吸っていそうな細長いタバコを吸っていた。だから印象的でよく覚えていたのかもしれない。 当時はそこまで分煙意識が進ん

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