トヨタ自動車はついに国内工場の閉鎖に踏み切ることになるのではないか−。専門家の間でこんな観測が浮上している。トヨタといえば、国内の工場閉鎖などは行わないことが「社是」のようになっている。が、好調時に工場の生産能力を増強し続け、それが自動車不況の今、アダになっているのも事実。ひところは日本国債よりも高い信用格付けをもらい、拡大路線をひた走っていた巨艦トヨタ。難しいかじ取りを迫られている。 「短期的な収益の改善だけではなく、中長期的な構造の課題にも取り組み、最高の(事業)モデルを作り上げる」 5日午後、トヨタ東京本社(東京都文京区)で開かれた中間決算発表。記者会見に出席した一丸陽一郎副社長(61)の発言に報道関係者が色めき立った。 トヨタが抱える構造的な課題とは、過剰な生産能力のこと。自動車販売が好調だった昨年まで、トヨタは国内や米国を中心に毎年50万台規模で生産能力を引き上げ、その能力