元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏(55=FC琉球総監督)が、W杯準々決勝のブラジル―オランダ戦を分析。4強を前にW杯から姿を消したブラジルの敗因を探った。 × × × 率直に言えば、不思議な試合だった。ベストなチームが勝ったという感じがしない。個の力、技術ではブラジルがあらゆる局面で上回っており、自動車のエンジンに例えるならば、ブラジルの方が強かった。しかし、最大限のパワーを生かしたのはオランダだ。ブラジルは60%程度しか使っていないだろう。 今大会のブラジルは世界のメディアから“退屈なサッカー”と批判さえ受けてきた。ドゥンガ監督のサッカーはディシプリン(規律)に基づいてボールを支配し、非常に堅実なプレーをするからだ。その上で個人技が発揮される場面ではサンバの薫りを漂わせた。しかし、そのシステムには限界があったと思う。 攻撃は、例えば右サイドなら右にというふうに1カ所に偏