昔から、地名が苦手だ。 地名の出てくる話をしなければならない状況に置かれると、だから、ひどく緊張する。 これまでにも、色々な場面で、地名の読み方を間違えて恥をかいてきた自覚がある。 ただ、これは、仕方の無いことだとも思っている。 地名には、あらかじめ知らないと正しく読みくだせないものがかなりの割合で含まれているからだ。 だから、こと地名に関しては、言い間違えることや読み間違えることを、いちいち恥だと思わない方が良い。 結局のところ、われわれがある土地に馴染むということは、地名の読み方や由来を知るところからはじまって、少しずつその地域の人情や風俗を把握して行く過程にほかならないからだ。 人名についても同様だ。 読み間違えるところからはじまる友情もあるし、幸運なケースでは、訂正と謝罪から出発する愛情だってないとは言えない。 逆に言えば、安易な類推を許さないところに、固有名詞の固有名詞たる所以が