以前の小欄で、収束と緊迫化を繰り返すウクライナ危機の性質について書いた。一度は停戦合意が成立するものの、その履行を担保するメカニズムが存在しない以上、危機は再燃し、しかもその度に既成事実が積み重ねられていくということが今回のウクライナ危機では繰り返されている。 そしてここしばらくの間に、ウクライナでは新たな緊迫化の兆候が顕著になってきた。 これまでの経緯イスラム国やエボラ出血熱騒動ですっかり忘れられつつある感もあるので、まずはここで簡単にこれまでの経緯を振り返っておきたい。 8月初頭、ウクライナ東部の親露派武装勢力はウクライナ政府軍の攻勢に対してほぼ壊滅寸前の状態に陥っていたが、8月半ば頃からロシアはロシア軍の直接介入を含む大規模な軍事援助を行い、瞬く間に形勢を逆転させた。 8月28日の拙稿をご覧頂ければ分かるとおり、一時期は壊滅状態に陥っていた親露派はわずか3週間ほどでウクライナ政府軍を