アタリ周辺だけに責任を押しつけるような「アタリショック」史観が、いかに論理薄弱なものか、これでお分かりいただけたと思います。いま日本で信じられているような偏狭な見方は、はたしていつ頃、どのようにして生まれたのでしょうか。 鍵は「アタリショック」という言葉そのものにありそうです。近年になって知られるようになったことですが、これは日本以外では使われることのない用語だったのです。ではいったい、「アタリショック」を最初に言い出した人間はどこの誰なのでしょうか―――意外なことに、これがよく分かっていません (もとは経済用語だという説を稀に見かけますが、記載している経済用語辞典は見たことがありません)。いまのところはっきりしているのは、1989年頃以前に「アタリショック」という言葉が用いられた痕跡は見当たらない、ということだけです。 それ以前―――つまりファミコン全盛期前後―――の文献を当たると、「ア