今日の政治は混迷の度を増している。その体たらくに国民は唖然とし、政治不信も極限にまで達している。野田内閣に対して民主党から何人が反旗を翻すか、54人以上か、以下かといった話題が、この一週間の政治欄を賑わせている。まさに政局だからである。 しかしながら、このあたりで政権交代前後の政治状況から現在までを振り返ってみて、政治がここまで劣化した原因について考察すべきではなかろうか。結局は、「国民が主役」であり、投票行動によって政権交代を実現させた国民が、今や、そのつけを払っているのである。しかし、そのように国民を誘導した人々の責任もまた忘れてはならない。 私は、安倍、福田、麻生の三内閣で厚生労働大臣を務めたが、医師不足、年金記録、C型肝炎、中国産毒入り餃子、派遣労働、新型インフルエンザなど、山積する問題の処理に追われた日々であった。その詳細は、拙著『厚生労働省戦記---日本政治改革原論』(中央公論