台湾に、「紅い資本家」が誕生しようとしている。 「紅い資本家」という言葉には注意が必要だ。 1980年代から90年代にかけて、中国の改革開放政策の下で香港などに進出して荒稼ぎし、その富を中国大陸に持ち帰ることに成功した者たちがいた。中国国際信託投資公司の創設者で、国家副主席も務めた栄毅仁などが代表格だった。彼らは最初に「紅い資本家」と呼ばれた人々だ。 1997年に中国に返還された香港では、企業家たちが先陣を切って中国政府の軍門に降った。彼らは対中ビジネスのうまみに優先的にあずかりながら、香港社会における中国支持勢力を形成した。香港発の「紅い資本家」である。