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ブックマーク / courrier.jp (29)

  • 米経済メディアが紹介 洗濯物の乾かし方で日本発の「第三の道」がある | 世界はまだ“それ”を知らない

    欧州と北米のあいだには大きな隔たりがある。それは洗濯に関わることだ。洗濯物を乾かすとき、欧州はおもに自然乾燥に頼り、物干しスタンドのうえに広げたり、外で吊り干ししたりする。米国やカナダの家庭はたいてい、洗濯物を乾燥機で乾かす。 その隔たりは、かなり際立っている。欧州で最も乾燥熱心なデンマーク人が洗濯物を機械乾燥する割合はたった28%である一方、米国の家庭のおよそ80%が毎週タンブル乾燥している。このギャップは何十年も存在してきたし、外国からの訪問者を大いに困惑させてもきた。 ところが日では、大西洋の両岸からやってきた旅行者が、洗濯物を乾かす第三の道があると知って驚くことがよくある。見よ、浴室乾燥機だ。 電化製品と部屋の境界をまたいだ装備 英語に訳せば「バスルーム・ドライヤー」となるこの浴室乾燥機は、電化製品と部屋の境界をまたいだ、巧妙な装備だ。浴室の天井に埋め込まれたヒートポンプが暖かく

    米経済メディアが紹介 洗濯物の乾かし方で日本発の「第三の道」がある | 世界はまだ“それ”を知らない
  • 条件は完璧にそろっているのに「EVが普及しない」不可解な国・日本 | 米メディアが原因を分析

    には、電気自動車(EV)が普及するための条件が完璧にそろっているという。だがテスラ社のイーロン・マスクも日市場には苦戦していると認める通り、普及は遅々として進んでいない。その原因はどこにあるのか。同じく普及が停滞する米韓の状況と合わせ、米経済メディア「ブルームバーグ」が分析した。 日はEV普及の「ラガード」 日は電気自動車(EV)の先駆者となるための、あらゆる条件を備えている。世界平均を上回る所得、堅調な自動車産業、高い新車購入率、技術を称揚する文化などだ。 しかしながら、2023年の日におけるEVの新車販売比率(新車販売台数に占める特定の自動車の割合)はわずか1.8%だった。 2024年3月、ブルームバーグの気候変動ニュースメディア「ブルームバーグ・グリーン」は、完全電気自動車(BEV)の普及拡大が見込まれる31の国を調査した結果を発表した。するとそのなかで、普及率が思いのほ

    条件は完璧にそろっているのに「EVが普及しない」不可解な国・日本 | 米メディアが原因を分析
  • 米大学教授が解説する「日本の『わび・さび』の美学」 | なぜ外国人はこの概念に魅了されるのか

    「わび・さび」はいまや海外でも“Wabi-Sabi”として知られているが、この日独特の概念を定義するのは日人でも難しいだろう。ワシントン大学で日語や日文学を教えるポール・アトキンス教授が、「わび・さび」が日国外に広まった経緯と、その美学に外国人が惹かれる理由を解説する。 日に逆輸入された 先日ニューヨークを訪れた際、マンハッタンにある日の書店に立ち寄った。日に関する英語が並ぶなか、「わび・さび」専用の棚があり、『わび・さびの恋愛術』『わび・さび道』『芸術家、デザイナー、詩人、哲学者のためのわび・さび講座』などのタイトルが陳列されていた。 いったい「わび・さび」とは何なのか、そしてなぜ「寿司」や「空手」といったジャンルと並び、独自のコーナーが設けられるほどの扱いを受けているのか? 「わび・さび」は、一般的には伝統的な日の美意識と説明されている。「傷がある」または「未完成

    米大学教授が解説する「日本の『わび・さび』の美学」 | なぜ外国人はこの概念に魅了されるのか
  • 『PERFECT DAYS』ができるまで─米紙が見た「製作の舞台裏」 | 主人公は「美しい削減の象徴」

    ヴィム・ヴェンダース監督は、なぜ最新作『PERFECT DAYS』で「東京のトイレ」を取り上げようと思ったのか? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が監督人や主演の役所広司に、東京で感じた「精神性」や主人公・平山のキャラクター造形などを聞いた。 芸術的インスピレーションの観点からいえば、ふつう公共トイレは創作意欲をかき立てたりしない。もっとも、たいていのトイレは東京の公共トイレのようにはいかないものだ。 かくして、『パリ、テキサス』や『ベルリン・天使の詩』などの傑作で知られるドイツ映画監督ヴィム・ヴェンダースは、2022年の春に初めて東京都心の公共トイレを視察した。そして安藤忠雄、坂茂、隈研吾などがデザインし、監督自身が「小さな宝石」と称するそれらの建築物に魅了されることとなった。 東京のスタイリッシュな公共トイレから生まれた彼の最新作『PERFECT DAYS』は、アカデミー賞国際長編映

    『PERFECT DAYS』ができるまで─米紙が見た「製作の舞台裏」 | 主人公は「美しい削減の象徴」
  • 西洋人が日本文化に惹かれるのは「相反する物事の共存」を許容しているから | スペイン人記者が考察

    のアニメやマンガが世界で人気を獲得して久しい。だが、西洋社会に生きる人々が日文化に魅了される理由は、そのさらに奥深くにあるという。マンガからも見て取れる、その日独特の概念をスペイン人記者が突き詰める。 過去数十年間、マンガはヨーロッパ市場に着々と根付き、マンガフェスティバルや、仮装、ホログラム、それにフィクトセクシュアル(架空のキャラクターに性的に惹かれること)など、幅広い領域を生み出してきた。 フィクトセクシュアルは、近藤顕彦とバーチャルシンガーの初音ミクが体現していたものだ。しかし、初音の運営会社がホログラムと話すサービスを終了したため、一部の人々は近藤のことを「デジタルを亡くした最初の男」と語るようになった。

    西洋人が日本文化に惹かれるのは「相反する物事の共存」を許容しているから | スペイン人記者が考察
  • 諫山創が米紙に語る「ハッピーエンドを諦めるしかなかった」 | 『進撃の巨人』の結末の背景とは

    漫画『進撃の巨人』が連載を終えて2年、TVアニメ版もついに最終話が放送された。世界的に人気の高い同作の完結を受けて、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、原作者の諫山創にインタビューした。 「世界で最も需要の多い作品」だった アニメ『進撃の巨人』の最終話がクランチロールとフールーで配信され、2013年に放送が始まった大作がついに終わりを迎えた。 日では11月4日に最終回が放送された 2009年から2021年まで連載された原作漫画同様、TVアニメ版はたちまちヒットとなり、現代アニメの一時代を画すシリーズのひとつとなった。スピンオフ作品や実写版、ゲーム、それから『スパイダーマン』や『アベンジャーズ』といったタイトルとのコラボ漫画まで出た。 Season 4にあたるThe Final Seasonが2020年に放送開始して以降、『進撃の巨人』はインターネット上で最も多く見られたシリーズとなった。放

    諫山創が米紙に語る「ハッピーエンドを諦めるしかなかった」 | 『進撃の巨人』の結末の背景とは
  • “プーチンの敵の筆頭”ビル・ブラウダーが語る「ウクライナ侵攻の真の動機」 | プーチンは「血も涙もない殺人者だが、つねに合理的」

    「プーチン支持者」から「ロシアの敵」へ 2005年11月13日。場所はモスクワのシェレメーチエヴォ国際空港。ビル・ブラウダーは英国のヒースロー空港からのフライトで到着したばかりだった。 ブラウダーはロシア最大の大口外国投資ファンド「エルミタージュ・キャピタル」のトップだ。普段なら、VIP待遇でパスポートを見せれば数分でゲートが開かれる。だが、このときは到着からすでに約45分も過ぎたのに、待たされ続けていた。時間がかかりすぎだ。 「入国拒否となっています」 ビザが失効しているので、ヒースロー空港に戻らなければならないという。ブラウダーは何かの間違いなのではないかと考えた。数週間後、当局から届いたメールに簡潔に記された入国拒否の事由を読んだが、釈然としない気持ちが募るだけだった。 「『国家の安全、公共の秩序、公衆の衛生』のためならば何人も入国拒否できる」 ブラウダーはロシア市場のパイオニアだっ

    “プーチンの敵の筆頭”ビル・ブラウダーが語る「ウクライナ侵攻の真の動機」 | プーチンは「血も涙もない殺人者だが、つねに合理的」
  • 米国人の3人に1人「飛行機を安全に緊急着陸させる自信がある」 その自信満々はどこから? | 素人でもパイロットの代わりになれる?

    3月22日、米サウスウェスト航空のパイロットが飛行中に体調不良を訴えたが、同機にたまたま搭乗していた非番のパイロットの助けで事なきを得た。 コックピットにいたパイロット2人のうちの1人が操縦できない状態に陥ったのは、ラスベガスを離陸してまもなくのこと。そこで、機内にいた別の航空会社のパイロットがコックピットに入り、もう1人のパイロットを補佐して、急きょラスベガスに引き返した。 これは運よく非番のパイロットが居合わせたおかげで大事に至らなかったケースだが、そんな偶然はきわめて稀だ。 では、機内にそれらしき人がいない場合、素人でも緊急着陸させることができるのか? なんと米国人の約3分の1が「飛行機を緊急着陸させる自信がある」と考えているようだ。 調査会社ユーガブは1月に、米国で約2万人の成人を対象にアンケート調査を実施した。設問はこうだ。 「緊急時に旅客機を安全に着陸させる自信はどれくらいあり

    米国人の3人に1人「飛行機を安全に緊急着陸させる自信がある」 その自信満々はどこから? | 素人でもパイロットの代わりになれる?
  • 余命数ヵ月の神経科学者が悟った「私たちが“自分の死”をうまく想像できない理由」 | 激怒と感謝のなかで、死に備えながら…

    ジョンズ・ホプキンズ大学の神経科学教授である筆者は、思わぬ病の発覚により余命わずかと告げられる。感情の渦に飲み込まれそうになりながらも、自らの死になんとか備えようとするなかで、筆者が人間の精神について新たに理解した「3つのこと」とは──。 定期検診の心エコー検査で、私の心臓の隣に大きな塊が見つかった時、放射線科医はそれを裂孔ヘルニアかもしれないと考えた。胃の一部が横隔膜を押し上げて、心嚢を圧迫しているのではないか、と。 「このダイエット・ドクターペッパーを一気飲みして、すぐ検査台に乗ってください。胃の中のコーラの炭酸が抜ける前に、もう一度心エコー検査をしますので」 私は従った。が、画像に映った塊の内部には、胃の中の炭酸が弾ける様子は確認できず、ヘルニアの診察を裏付けるものはなかった。 数週間後、より解像度の高いMRI検査を受けたところ、実は例の塊は心嚢の内側にあって、それもかなり大きいこと

    余命数ヵ月の神経科学者が悟った「私たちが“自分の死”をうまく想像できない理由」 | 激怒と感謝のなかで、死に備えながら…
  • ダニエル・シロ「プーチンの登場は共産主義革命の帰結である」 | 「仮に戦争に勝ったとしても、ロシアは破壊されてしまっているでしょう」

    問題山積の国で革命が起きる 彼の名前はフランス人のように聞こえ、そして彼の来歴は20世紀ヨーロッパの悲劇的な運命を示している。ワシントン大学でロシア・ユーラシア研究に携わるダニエル・シロは、ロシア系ユダヤ人の両親のもと1942年にフランスで生まれ、6歳のときにアメリカ合衆国に移住した。 彼は独裁政治や、専制主義、ジェノサイドの研究を専門とする。スイスの出版社マルクス・ハラーから出版された『誰が革命を望むのか? ラディカルな理想主義の悲劇』において、歴史上の大規模革命をふるいにかけ、その繰り返されるモチーフを描き出している。始動はリベラルで、急進派に転じ、そして急進性を維持するか、あるいは反動的になる。学識豊かで含意あるこの著作では、過去の知識と同時に現在の教訓を学ぶことができる。 ──なぜ革命に興味を持たれたのでしょうか? 私は、ロシア革命が起こったときにフランスに避難した、ロシア系ユダヤ

    ダニエル・シロ「プーチンの登場は共産主義革命の帰結である」 | 「仮に戦争に勝ったとしても、ロシアは破壊されてしまっているでしょう」
  • 母乳とそれに代わるものの込み入った歴史 | 全米での粉ミルク不足から振り返る

    乳児用の粉ミルク不足がアメリカで深刻化している。では母乳に戻ればいいのかといえば、話はそう単純ではない。母乳とそれに代わるものの複雑な社会史を歴史家のスティーブン・ミームが概観し、現状を捉え直す。 深刻な粉ミルク不足は一見、母乳を喧伝しているように見える。女性が自然の流れに従いさえすれば問題はまったくないだろうとも考えられるからだ。 この議論の逆を行ったのが、母乳育児をやめるよう女性を説き伏せて粉ミルクを売ろうとしてきた「ネスレ」のような多国籍企業だ。そうした20世紀のマーケティング作戦は、消費者のボイコットと粉ミルクメーカーに対する世間からの反感を受けて終わり、乳児たちが死亡する事態にもつながった。 しかしこの恥ずべき出来事は、それより前の、もっと込み入った歴史を覆い隠してしまう。赤ん坊を母乳で養い育てるという仕事は長いあいだ、母乳か粉ミルクかの議論よりもはるかに厄介なことであり続けてき

    母乳とそれに代わるものの込み入った歴史 | 全米での粉ミルク不足から振り返る
    peachpear
    peachpear 2022/06/16
    途中までは興味深く読んだが、終盤があっさりし過ぎて、勿体ないな
  • 自分の“新鮮な”精子を“提供”し続けた不妊治療医─その行為は患者のため?それとも… | DNA検査で発覚、その子供の数は50人以上

    30年前、DNA検査が簡単にできる時代になると誰が想像しただろう。インディアナポリスの不妊治療医は、絶対に彼の「秘密」が世間に知られることはないと確信していたはずだ。まさか、「自分の採れたての精子を患者に注入していたこと」が、明るみにでるなんて……。 最初にヘザー・ウック(33)のもとにフェイスブックのメッセージが届いたのは、旅行の準備をしていた2017年8月のことだった。それは、彼女の腹違いの兄弟と名乗る、知らない人からのものだった。 両親からは、自分に兄弟がいるという話など聞いたことがなかったので、彼女はそれをスパムメールだろうと思った。だが、すぐに彼女は不安を覚えた。そのメッセージには、医師のドナルド・クラインについて書かれていたからだ。 ウックはその名前に覚えがあった。彼女の母親はウックが生まれる前、不妊治療のためにクラインのクリニックに通っていたのだ。この人物は、母親の医療情報を

    自分の“新鮮な”精子を“提供”し続けた不妊治療医─その行為は患者のため?それとも… | DNA検査で発覚、その子供の数は50人以上
  • 村上春樹「僕は基本的に『理想主義』というものを信じている」 | 仏誌のインタビュー「日本語全文」を独占公開

    フランス誌が「世界で最も読まれ、世界で最も謎めく作家の一人」と評する村上春樹にインタビューをおこなった。語られたのは、父のこと、小説のこと、そしてある一日の過ごし方まで──日語の全訳を独占公開する。 現代日で最も有名な作家は、控えめに言っても、メディアに出ることがあまりない。完全にミュート状態というわけでもないのだが、それに近いところがある。そのことについて尋ねられるのも嫌だというところを隠そうともしない。 「小説家にとっては『良い小説を書く』というのがいちばん重要な事柄であって、それ以外のことはだいたい全部『おまけ』みたいなものだ。しゃべりたい人はしゃべればいいし、黙っていたい人は黙っていればいい。それだけ」 だからフランスの読者がこれまで知れたのは、彼がところどころでしぶしぶ書き記したような伝記的事実の幾つかだけだ。音楽が好きで、趣味はランニングと野球。それ以外はを通してわかるこ

    村上春樹「僕は基本的に『理想主義』というものを信じている」 | 仏誌のインタビュー「日本語全文」を独占公開
  • エストニア首相「ロシアによる残虐行為は、ソ連が私たちに犯した過去の罪そっくりだ」 | ロシアの残虐さを知るバルトの国

    ソ連に長く支配されてその残虐さや恐怖を体験し、EUとNATO加盟国でありながらもロシアの次のターゲットではないかと指摘されるバルト三国。 なかでもデジタル変革を遂げ、電子国家として知られるエストニアの首相カヤ・カラスが、ウクライナで見られるロシアの残虐行為は、かつてエストニアが経験したものだと、英誌に寄稿した。 ソ連、ロシアが犯してきた残虐行為 私がこの原稿を書いているのは、ウクライナの首都キーウ近郊にあるイルピンやブチャの惨状を見て、世界が目を覚ました頃だ。ロシア軍によって殺害された市民や集団墓地の写真を私たちは目にする。 これらの写真は、ソビエト政権とその秘密警察であった内務人民委員部(NKVD)による殺戮をエストニアの人々に思い起こさせる。その国家によるテロリズムマシンは、まったく同じように市民を殺害したのだ。 ロシアに送還する前に尋問をする浄化キャンプや強制送還について耳にすると、

    エストニア首相「ロシアによる残虐行為は、ソ連が私たちに犯した過去の罪そっくりだ」 | ロシアの残虐さを知るバルトの国
  • 「プーチンの意味不明な言説」は『1984』で読み解ける──彼がわかりにくい表現をする理由 | 言葉が政治的権力への欲望に従うとき、何が起こるのか

    真実は“真逆”にあり あなたがこれまで、ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻について語る言葉に耳を傾けてきたなら、あるパターンに気がついたかもしれない。プーチンはよく、言葉を通常とは真逆の意味で使うのだ。 彼は戦争活動を「平和維持活動」と銘打っている。 ホロコースト生存者の孫でユダヤ系のゼレンスキー大統領について、政権転覆や彼の殺害さえ目論みながら、自身はウクライナの「非ナチ化」に尽力しているとのたまう。

    「プーチンの意味不明な言説」は『1984』で読み解ける──彼がわかりにくい表現をする理由 | 言葉が政治的権力への欲望に従うとき、何が起こるのか
  • リトアニア首相「私たちは以前から警告してきた。ウクライナ侵攻は起こるべくして起きたのだ」 | ロシアとベラルーシと国境を接し、脅威にさらされるバルトの小国

    ウクライナ侵攻が起き、ポーランドやバルト三国など、ロシアと国境を接する国々は警戒を強めている。なかでもベラルーシとも国境を接するリトアニアは、ロシアと関係を強化する中国へも警戒を高め、台湾との関係を深めたことで中国から制裁を受けている。 そのリトアニア首相イングリダ・シモニーテがウクライナ侵攻を受け、英誌「エコノミスト」に寄稿した。 ロシアの脅威から目を逸らしてきた西側諸国 すべては起こるべくして起こったことだった。 1999年のプーチンによるチェチェン紛争は、西側諸国の目を覚ますきっかけとはならなかった。2007年のエストニアへのサイバー攻撃、2008年のグルジア紛争、2014年に始まるウクライナへの軍事侵攻と不当なクリミア併合もそうだった。これらの行動の不当性や責任を、ロシアはすべて否定している。 そして、政権に反対する者、「不都合な」目撃者やジャーナリストは、あからさまに数多く暗殺さ

    リトアニア首相「私たちは以前から警告してきた。ウクライナ侵攻は起こるべくして起きたのだ」 | ロシアとベラルーシと国境を接し、脅威にさらされるバルトの小国
  • がんで余命1000日と宣告された妻は、その事実を子供たちに伝えず、力強く長く生き抜いた | 「日常」を保つため、長距離走を欠かさなかった妻

    子供たちの大好きな母親が難病で余命宣告を受けたらどうするか──まだ小さな子供たちにその重圧を負わせないよう、病状を伝えないという選択をとった夫婦がいた。の死後、残された夫が闘病の日々を米誌への寄稿で振り返る。 に対する突然の余命宣告 母親の余命が1000日であることを3人の娘たちが知れば、残りの日々を数え始めるだろうとマーラは考えた。 そうすると、学校も友達との時間も誕生日会も、娘たちは何も楽しめなくなるだろう。マーラの外見や動作、行動、事の様子など、娘たちは母親のことをあまりにもよく見ていた。マーラが望んだのは、娘たちに負担をかけず、子供らしくいてほしいということだった。 マーラは私の初めてで唯一のガールフレンドだった。1987年10月に参加したミシガン州の男女合同フラッグフットボールで知り合った。当時の私は女性と接するのが苦手で、女性にはそっけなかった。

    がんで余命1000日と宣告された妻は、その事実を子供たちに伝えず、力強く長く生き抜いた | 「日常」を保つため、長距離走を欠かさなかった妻
  • それでも、俺たちが地下鉄の屋根に上がって「サーフィン」する理由 | エッフェル塔を横目にセーヌ川を渡るルートが“聖地”

    走行中の列車の屋根の上に乗って、さながらサーフィンするようにバランスをとるストリート・スポーツの「トレイン・サーフィン(サブウェイ・サーフィン)」。 その愛好者は2000年代後半から増えてきたというが、パリの地下鉄6号線でエッフェル塔を眺めながらセーヌ川を渡るルートは、いまや“サーファー”たちの聖地となっている。 ある夏の日の午前8時。パリの地下鉄スターリングラード駅の混雑したホームに仮面の男が現れ、停車中の車両の屋根によじ登った。列車は動き出し、高架の上の線路を進みはじめた。 列車がサン・マルタン運河の上を越えるあたりでカーブにさしかかると、仮面の男は屋根の上を走りだした。列車がジョレス駅のホームに入ると、「安全確認のため運転を中止します」という単調な声の放送が流れた。乗客が苛立ちのため息をついた頃には、仮面の男は駅を出て、遠くに走り去っていた。 男の名前はイカロス。死にそうになった経験

    それでも、俺たちが地下鉄の屋根に上がって「サーフィン」する理由 | エッフェル塔を横目にセーヌ川を渡るルートが“聖地”
  • 村上春樹が語る『一人称単数』 フィクションとノンフィクションの狭間で | 1時間で短歌を1ダース

    どこまでが著者の実体験で、どこからがフィクションか──小説があまりにもリアルだと、読者はついつい無粋な詮索をしてしまうことがある。村上春樹の短編集『一人称単数』は、まさにそんな作品だ。どの短編も現実離れしているにもかかわらず、読む者は当に起きたことのように信じ込んでしまい、混乱してしまう。スペイン紙がこの新著について、村上人に話を聞いた。 東京、青山のマンション。パソコンの前には一人の男がいて、その背後ではブラームスが響いている。 私たちには、それを見ることも聴くこともできない。なぜならこのインタビューは文面を通しておこなわれているからだ。周知のとおり、スターはこうしたやり方を選ぶことができる。そして日の村上春樹は、紛れもないスターだ。 もしも「地球上にいる10人のグローバル作家」のリストを作ってみれば、そのうちの一人(そして数少ない非アングロサクソン人の一人)に、1949年京都生ま

    村上春樹が語る『一人称単数』 フィクションとノンフィクションの狭間で | 1時間で短歌を1ダース
  • マイケル・サンデルの指摘 「能力主義社会の“勝者”たちが手際よく成果を残したとは言えない」 | 「テクノクラシー化」への警告

    理想的な能力主義が実現しても“ダークサイド”はある ──著書『実力も運のうち 能力主義は正義か?』では、私たちが暮らす民主的な社会に取り入れられてきた能力や功績(メリット)という概念が凝結し、それが社会的敬意を根っこから蝕んでいると論じています。 具体的には、能力主義によって「勝者は自分たちの成功をみずからの手柄と考え、敗者はエリートから見下されていると感じるようになった」と主張されています。能力主義社会ではどうすれば勝者になれるのでしょうか。逆に言えば、能力主義社会における敗者とはどういう状態、どういう人なのでしょうか。 重要なのは、有能という(望ましい)意味の「メリット」と、「メリトクラシー(能力主義)」を区別することです。能力主義とはルールからなるシステムであり、人が何に値するかに基づいて所得や資産、影響力を分配する手段です。 まずは、きわめて常識的で反論の余地がない有能さとしてのメ

    マイケル・サンデルの指摘 「能力主義社会の“勝者”たちが手際よく成果を残したとは言えない」 | 「テクノクラシー化」への警告