7月31日に開幕したベルギー1部リーグのシント・トラウデン(STVV)対リールス戦のキックオフ2時間近く前、無人の観客席にリールスの会長、マジェド・サミーが座っていた。 「いよいよ、開幕ですね」。そう声をかけると、サミー会長は力強く語り始めた。 「STVVとリールスは2年前まで同じ2部リーグでプレーしていた。STVVは優勝、リールスは2位だったが、あの時リールスはホームでもアウエーでもSTVVに勝ったんだ。昨季、STVVはいきなり1部リーグで“プレーオフ1”(レギュラーシーズン1〜6位のチームがプレーオフで優勝を決めるシステム。今季は残留・降格を決める“プレーオフ3”ができた)に参加する健闘を見せた。STVVができることは、われわれにもできる」 エジプト人実業家のサミー会長は、リールスを破産の危機から救った人物だ。3年ほど前、ベルギーサッカー界は八百長問題で揺れに揺れ、リールスも当時