結婚やセックスをする人は少数派で、子を産むと社会保障を受けられるが、生まれた子は国や社会のもの――。日本の未来予想図を想起させるような小説が、話題を呼んでいる。『アカガミ』と『消滅世界』をそれぞれ著した作家の窪美澄(くぼみすみ)さん(50)と村田沙耶香(さやか)さん(36)が語りあった。 《作品のあらすじ》 窪美澄『アカガミ』(河出書房新社) 2020年を境に若者たちは自殺へ駆り立てられ、性や恋愛への関心を失っていた。主人公の女性は、男女を「番(つが)い」にして「まぐわい(セックス)」により子どもをもうけさせる国の制度「アカガミ」に志願する。 村田沙耶香『消滅世界』(同) 生殖は人工授精のみで行われ、夫婦間のセックスは近親相姦(そうかん)とされる世界。主人公の女性は「交尾(セックス)」で生まれ、自らもセックスをする珍しい存在だ。男性も人工子宮をつけ、抽選で当たった人が順番に人工授精をする実