■要旨 2021年10-12月期の実質GDPは前期比年率5.4%の高成長となり、コロナ前(2019年10-12月期)の水準まで0.2%に迫ったが、直近のピーク(2019年7-9月期)に比べると▲2.9%も低い。実質GDPがコロナ前の水準に戻るだけでは経済の正常化とは言えない。 日本の実質GDPは、大きな負のショックがあるたびに、その水準が下方シフトするだけでなく、その後のトレンド成長率(一定期間の平均成長率)の下方屈折につながってきた。トレンド成長率の低下が特に顕著なのは個人消費で、1980年代の4.1%から直近の0.4%まで、大幅な下方屈折を繰り返している。実質GDPが直近のピークに戻った上で、個人消費を中心にトレンド成長率が少なくともコロナ前の水準まで回復することが、経済正常化の条件である。 個人消費は新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前から低迷が続いており、その主因は可処分所得の