実に無責任と言うしかない。イスラエルとパレスチナの和平について、トランプ米大統領は2国家共存構想にはこだわらないと明言した。 将来樹立されるパレスチナ独立国家とイスラエルの平和的な共存を目指して双方は誠実に交渉し、米国がこれを後押しする--。1990年代から米国が支持してきたこの方式を、あっさり放り出した感じだ。 だが、訪米したネタニヤフ・イスラエル首相との共同記者会見で方針転換を打ち出すのは、和平の仲介者として一方的に過ぎる。パレスチナ自治政府は納得していないからだ。 特にアラブ・イスラム世界は、米国がもはやパレスチナ国家樹立を支援しないと考えて反発するだろう。パレスチナ人の夢を奪う発言は中東情勢をさらに悪化させかねない。 また、トランプ大統領は在イスラエル米大使館をテルアビブからエルサレムに移すことに強い意欲を示した。イスラエルはエルサレム全域を武力で制圧し「不可分の首都」と宣言したが