中西寛(ひろし)・京都大教授 関西に住んでいると2025年開催の大阪・関西万博の話題を見聞する機会が増えてきた。空飛ぶ自動車の話や予算超過、入札不調など話題はさまざまだ。 今回の万博はいささか奇妙なイベントだ。そもそも「万博」というのは日本流の呼称で、本来は博覧会国際事務局(BIE)が承認するイベントとして国際博覧会と呼ぶ方が適当なのだろう。日本で万博という通称が定着したのは日本初の国際博覧会だった1970年の大阪万博について「万国博覧会」という呼称を採用したことに由来する。この万博は6400万人以上の入場者を集め、その記録は10年の上海万博まで抜かれることはなかった。その成功によって沖縄(75~76年)、つくば(85年)、愛知(05年)と万博が繰り返されてきたが、その集客数は大阪万博よりも大幅に小さかった。大阪万博が例外だったのであり、世界的に見ても近年の国際博覧会の観客数は2000万~