国家のあり方が揺らいでいる。 このところ顕著なのは、自由や人権、民主主義といった価値を先駆的に追求してきた国々の揺らぎだ。 1年前に大規模テロが起きたフランス。難民の受け入れできしむドイツ。欧州連合から離れる英国。そして5日後に大統領選を迎える米国。 そこにあるのは、グローバリズムのもたらす苛烈な現実を前に、理想を支えきれずにあえぐ国の姿だ。 ひるがえって日本はどうだろう。所得格差の拡大やポピュリズムの浸透は各国の動向と無縁ではない。 きょう日本国憲法は公布から70年を迎えた。地球規模で潮流が大きく変化する中での節目である。 内外の新たな政治状況 カネやモノが自由に移動するグローバル社会は、一面で国境の壁を低くする。しかし、同時にグローバル化はナショナリズムを刺激し、国家意識を強めもする。 その帰結が、各国で目立ち始めた自国第一主義の考え方であろう。フランスの著名な歴史人口学者エマニュエル