東京電力福島第1原発の過酷事故からまもなく6年がたつ。この月日を象徴するのは、飯舘村などに一斉に出される避難指示の解除、そして2号機で初めて垣間見えた「溶融核燃料」らしきものの姿だろう。 いつ帰れるともしれない故郷、どのような様相を呈しているのか見当もつかない原子炉内部。ついこの間までの状況を思えば、表面的には「一歩前進」かもしれない。 しかし、冷静に考えるなら、原発事故がいかに多くのものを人々から奪ってきたか、何十年も続く復興や廃炉の道のりがいかに厳しいかを示す象徴であることは間違いない。 遠く困難な廃炉への道 福島第1原発の構内を訪れると、廃炉作業の困難さをひしひしと感じる。全面マスクが必要なエリアは大幅に減り、労働環境は改善したとはいえ、廃炉に欠かせない難関である「溶融燃料の回収」がクリアできるめどはまったく立たない。 サソリ型ロボットで2号機の原子炉直下まで調査する先月の試みは、通
地球温暖化対策の新国際枠組みである「パリ協定」が発効した。協定は、今世紀後半に二酸化炭素(CO2)など世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指している。世界は化石燃料に依存する文明からの脱却に向けて歩み出した。 日本は批准手続きが遅れ、発効に貢献できなかった。近く国会で承認予定だが、モロッコで7日に始まる国連の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)の開幕には間に合いそうにない。批准を急いだ米国や中国、インドなど主要国に比べ、大きく出遅れてしまった。 この失態を挽回し、温暖化を巡る今後の国際交渉で存在感を示すには、今世紀後半を見据えた長期的な脱炭素戦略の具体化を急ぎ、世界に示していくしかない。 パリ協定の目標は、産業革命前に比べ地球の平均気温上昇を2度未満に抑えることだ。各国は、温室効果ガスの排出削減対策を自主的に策定し、5年ごとにさらに厳しい目標に見直すことが義務づけ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く