中国の特別行政区である香港の新行政長官に初めて女性の林鄭月娥(りんていげつが)(キャリー・ラム)氏(59)が選出された。香港返還20年を迎える7月1日から5年の任期を務める。 林鄭氏は親中派が多数を占める選挙委員会(定数1200)で圧倒的な票を獲得したが、民意が直接、反映されたわけではない。 「1国2制度」を形骸化させないためには、林鄭氏が住民との対話で民意をくみ取り、香港の意思を中国に伝えていく努力が必要だ。 本来、今選挙では全有権者が参加した直接選挙が実施される予定だった。しかし、中国が容認した改革案は立候補の要件が厳しく、事実上の民主派排除と反発を招いた。 民主派や学生らは2014年に香港中心部を3カ月近く占拠する雨傘運動を起こした。議会でも改革案が否決され、直接選挙は見送られた。 林鄭氏は雨傘運動に厳しく対応し、中国の信頼を得る一方で、民主派からは嫌われた。今選挙では中国が林鄭氏を