東京電力福島第1原発の事故後、歴代政権が掲げてきた「脱原発依存」の方針転換につながる節目である。専門家の意見が割れる中での決着は「拙速」と批判されても仕方あるまい。 原発の運転期間を「最長60年」と定めた法律の改正を、原子力規制委員会が了承した。5人の委員のうち1人が最後まで反対する中、異例の多数決となった。 結論を急いだ背景には、他の法案と一括して今国会で審議したいという政府の意向がある。 規制委は岸田文雄政権の指示を受け、昨年10月に議論を始めた。ベースになったのは、2020年にまとめた見解だ。運転期間を「規制委が意見を述べる事柄ではない」と結論づけていた。 経年劣化の度合いは原発ごとに異なる。一律に運転期間を定めるより、その時々の厳しい審査が使命だとの考え方である。 ただ、運転期間ルールは老朽原発から廃炉にし、脱原発を目指す意思表示と受け止められてきた。 規制委の議論最終盤、石渡明委