トランプ米大統領は米国が対中政策の基本にしてきた「一つの中国」政策について「なぜ縛られるのか」と疑問を示す。当選後、台湾の蔡英文(さいえいぶん)総統と電話するなど慣例にとらわれず、対中政策を進める意向だ。 しかし、見直しは、地域の緊張を高める危険性もある。1979年の米中国交正常化以来、台湾海峡や東アジアの安定を保ってきた枠組みであり、慎重な対応が必要だ。 72年のニクソン訪中以降、米国は「中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分」との中国の主張に「異論を唱えない」と約束してきた。 同時に「台湾関係法」を制定し、台湾への武器売却を続けてきた。「一つの中国」政策は中国との交流を拡大しつつ、台湾の安全を守る方策といえる。 台湾総統との電話まで文句をつけられるのかというトランプ氏の不満はわかる。しかし、政策は極めて微妙なバランスの上に成り立っている。英BBCは「外交的な綱渡り」と評す。 気になる