記者に自身の経験談を語ってくれた男性。家族を次々と亡くす中で「宗教的な感性が自分を支えた」と話した=兵庫県で、花澤茂人撮影 安倍晋三元首相の銃撃事件から4カ月がたった。この間、話題の中心は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)だった。10月には岸田文雄首相が宗教法人法に基づく質問権の行使を決め、宗教研究者有志が解散命令請求を含む行政対応を求めるなど、日本宗教史に刻まれる出来事となった。教団による反社会的な行為を明らかにして被害者を救済し、見過ごされてきた政治家との関係を追及することは重要だ。ただ、高みから「悪い宗教」を懲らしめ、社会から追い出すことを「正義」とするような風潮には疑問を感じる。宗教は単純に善悪で色分けできない。その危うさを見極めて共存していくには、誰もが自分自身の問題として向き合うことが必要だと思う。 私は10年ほど前から宗教の取材を続けている。特に信心深い家庭で育ったわけではな