約1世紀に及ぶ英国統治から独立を勝ち取っただけに、インドでは愛国心の強さを感じることが多い。政府機関はもちろんのこと、企業の建物でも国旗が翻るし、おんぼろの自動三輪車(オートリキシャー)の車体に描かれた国旗をみることも多い。 今では当たり前の風景だが、インド国民が自由に国旗を掲揚できるようになったのは、2002年1月以降のことだ。 それまで、国民が国旗を掲揚できたのは共和国記念日(1月26日)、独立記念日(8月15日)、マハトマ・ガンジー誕生日(10月2日)の祝日だけ。それ以外の日でも国旗掲揚が認められていたのは、公務員と政府機関の施設だけだった。 国民の国旗掲揚を禁じる法律が明確にあったわけではない。政府は国旗を神聖視し過ぎて、国民の適当な取り扱いや商業的な使用を恐れ、国旗の切断や焼却などの行為を処罰する法律と、国旗や国家的標章を商業的な目的で使うことを禁じる法律によって、国旗掲揚の自由