毎年元旦になると、それなりに新たな決意を胸に秘めており、ここ数年のテーマは料理と経済学である。おそらく来年の今頃も同テーマで決意を新たにしている姿が早くも脳裏に浮かぶが、本書を読むことで少しでも膠着状態を打開したいと思い、手に取った。 現在、食の分野では多くの専門家たちのミスリードにより、以下の3つの通説がまかり通っている。 ・最良の食べ物には、より多くのお金がかかる ・安価な食料の最大の供給源ーー巨大アグリビジネスーーは、救いがたい悪である ・イノベーションの源として、消費者は信頼に値しない。 著者は、これらの通説を時には天邪鬼なモノの見方で、また時には世界中の美味しいものを食べ歩きながら情報を感じ取り、美味しさの正体を構造的に紐解いていく。 本書は『大停滞』『創造的破壊』などの著者としても知られる、経済学者タイラー・コーエンが、良い食とは何かということについて経済学的アプローチで探求し