タグ

ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (10)

  • ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed

    家族でも恋人でも友人でもいいのだけれど、そういう大事な人を喪ったときの正しい感情ってなんだろう、なんて答えがないことを父の死を契機に僕は十代の終わりの一時期かなり真剣に考えていた。父が死んだとき僕が真っ先に思ったのは、悲しみでも、将来や生活への不安でもなくて、人間なんて簡単に死んでしまうんだな、エロの隠し場所には気を付けなきゃいけないな、というどうでもいいことだったりする。多感な18才だったので悲しかったのは間違いないのだけれど、前年の夏に祖母を亡くした直後ということもあって命が消えてしまう呆気なさに僕はただ愕然としていたのだ。 愕然としたあと僕はムカついた。というのも淡々と葬儀屋と打ち合わせをこなし、葬儀を執り行う母をみて親戚のオッサンどもが「少し休んだらどうだ」とか「泣いたっていいんだぞ」とか「これからの生活はどうするんだ」なんていちいち声を掛けてきたからだ。母のやりたいようにやらせ

    ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 新・私の異常なお見合い または私は如何にして焼肉デートのあとインポを克服するために赤ちゃんプレイをするに至ったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    インポを告白して断ったはずのお見合い相手とは泥沼、インポはコンティニュー、相手の母親から「婿殿の茶碗も用意してありますよオホホ」「初孫は男の子がいいわウフフ」、実の母親から「もうあんたに先はないんだからさっさと決めちゃいなさい、このインポ息子!」などと心ない言葉を連日頂戴するような四面楚歌で、普段は大海原のように穏やかな僕の精神も降参し荒んでいた。この週末は自分を見つめ直し心の平穏を取り戻そうと、酒を飲み飲み木材から仏像を削りだし、仏画を描いていた。不安が襲ってくるとドアを開け「くわっ」と目を見開き酒の肴のピーナッツを「鬼は外、福はうち」と一心不乱に虚空へ投げつけて平静を取り戻した。 そんな静かな時間は一通のメールによっていとも容易く破られてしまう。ジーザスクライスト!サノバビッチ!土足でお庭に入ってこないで。お花畑を踏み荒らさないで。「ヤフオクで武器が売れたので焼肉をべるのですうー ノ

    新・私の異常なお見合い または私は如何にして焼肉デートのあとインポを克服するために赤ちゃんプレイをするに至ったか - Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2009/05/18
    だんだんホラーに見えてきた・・・
  • RCサクセションが流れてた。- Everything You’ve Ever Dreamed

    熱心なリスナーでも熱狂的なファンでもなかった。事実、ライブ盤を一枚だけ持っているほかは、友達やレンタル店から借りてきてハイポジテープに吹き込んだものばかりだった。でも、あの瞬間に流れていたRCサクセションのロックが、ある人との出会いを与えてくれた。忌野清志郎の歌声が僕に与えてくれたんだ。そうだ。あのときあのロックンロールが繋げてくれたロックンロールに僕は、勇気を、もらった。 大学生の僕は歌詞もわからない洋楽ばかり聴いていた。高校のとき僕の母校で布教されていた「洋楽を聴く男=カッコいい男=女の子にモテる男」という間違った教義を敬虔な信者のように信じていたからだ。その教義を広めていた伝道師ボンクラ達(ウンコ数学部員一同)は高校はおろか大学に入っても誰一人としてガールフレンドがいないのに気付かなかったのが今でも悔やまれる。アルバムに挟まっている、アクセル・ローズを真似てバンダナを目深に巻き笑って

    RCサクセションが流れてた。- Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2009/05/09
    FM802でトータス松本が雨上がりの夜空にをかけて、曲が終わった後「これは車と女の子をかけている歌詞なんですねー」というそのまんまな解説をしてずっこけたことあったなー。10年以上前の話だけど。
  • 草なぎ剛を忘れない- Everything You’ve Ever Dreamed

    ねえ、剛。あのころの私たちは何もわからないまま毎晩馬鹿騒ぎしていたよね。夜が明けたら約束された明日と笑っていいともの収録が来るって、根拠もないのにずっと信じていたんだ。まさかマッパの剛が毛布にくるまれて警察に連行されるなんてあのときは思いもせずに。 ねえ剛。夜の公園でチンコ出すの、気持ちいいよね。先っちょを春の雰囲気を残した夜風が通り抜けていく感覚、森君とミュージカル「聖闘士星矢」出演の記憶と一緒にいつまでも忘れないでいて。警察官に裸でなにが悪いって凄んでも、奴らにはチンコの先っちょを衆目に晒す快感なんて一生わからないよ。だから私たちの楽園は汚されずにいるんだ。ついでに森脇さんのこと、時々思い出してあげて。 ねえ剛。稲垣君が捕まったときの君のコメントを覚えている?あのとき、黒人大統領の演説なんかよりもずっといい言葉だって素直に思ったんだ。「いいひと」の剛が陰で「稲垣君はさー菅野美穂ちゃんが

    草なぎ剛を忘れない- Everything You’ve Ever Dreamed
  • 私の異常なお見合い または私は如何にして心のタガを外しアナルパールの話をお見合いでするようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    正月に話を持ちかけられて以来、「無理」「駄目」「嫌」「眠い」「多忙」といって断り続け、一時は逃げ切ったと思っていたのだが、母の執念たるや侮りがたく、「私の顔を立てろ」「誰が産んだと思ってる?」「金返せ」「親不孝者」という脅迫めいたメールを昼はスナック、夜はデニーズから、昼夜問わずドコモへ執拗に送り続けてくるものだから、日を追うごとに僕の精神は衰弱し、判断力は失われ、酒に逃げ、泥酔し、うっかり一度だけ「うるせーわかった」と返事をしてしまい、こないだの日曜はお見合い。相手は母の友人の25歳の娘さんで、漫画の格好をするのが趣味、らしい。コスプレ?他に情報はないのかと訊ねると母はふふと不穏な笑みを浮かべ、一枚の写真を一瞬見せ「あとは当日のお楽しみ」などとふざけたことを言うので眠れない夜が始まる。 で、当日。エクセレントなことに母と母の友人とその娘は待ち合わせの時間に待ち合わせ場所の喫茶店に到着して

    私の異常なお見合い または私は如何にして心のタガを外しアナルパールの話をお見合いでするようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 部長の すごい 企画 - Everything You’ve Ever Dreamed

    「お前ら少し頭を使えぉぇぇぇぉぇ!」 会議室で部長のテンションだけが上昇していた。部長の頭はバーコード。頭髪と頭髪の隙間で、フケが脂でてかって白く光っている。叫ぶな。光り輝くな。漂う空気は白けながらも重苦しさでいまにも分解しそうだった。今年最後の月次定例営業会議だ。月次ときいて僕は笑いそうになってしまう。部長の気分で三回開かれる月もあれば、部長の遅刻で突然中止になる月もあったからだ。 議題は新規事業展開。前回の会議の終わりに部長は「次の会議までに他のどこもやってない事業を考えろ。既存の事業を生かしたうえで人手もコストもかけず、リスクも負わない、安全で、楽で、確実に儲かる仕事を考えてこい」とハッパをかけた。虚ろな目で。 そんなうまい話があるはずない、そう誰かが言ったが、部長の意識はすでに別の場所に移動していた。部長は鼻唄まじりに何かを弄っていた。部長の手元にはゴルフコースのパンフ。鼻唄は銀座

    部長の すごい 企画 - Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2008/12/25
    フィリピン、シンガポール、そして出島。小さな会議室と世界の国々にわたるパブの物語。
  • ケータイ小説的日記「ボクオッパイ」 - Everything You’ve Ever Dreamed

    削除。

    ケータイ小説的日記「ボクオッパイ」 - Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2008/09/26
    ほんと才能の固まりだこの人。リズム感が絶妙で原典をいとも簡単に超越。埼玉は確かに何もかもを奪う。
  • 透けブラ少女は空を翔る - Everything You’ve Ever Dreamed

    事故を告げる電光掲示板。僕はホームから夜空を眺めた。人身。遅延。予め組み込まれた橙色の文字列が素知らぬ顔で左から右へと秋風のなかをすり抜けていく。左から右へ。橙色のドット。駅員に詰問する会社員風の男。弁明する腕章を巻いた駅員。喧騒。ヘッドフォンをして気長に電車の到来を待つことにした僕に、女性が「なにがあったんですか」と尋ねてきた。僕は電光掲示板に映しだされた文字をそのまま声にして繰り返した。音のないヘッドフォンを介した僕の声はやけに無機質で遠く、あの掲示板の親戚みたいだった。ヘッドフォンの音量を上げる。プライマル・スクリームの「ロックス」が僕に飛び込んできた。 「ロックス」が収録されていたアルバムは出来損ないのストーンズみたいだった。カート・コバーンがショットガンで頭をぶち抜いたあの年の秋、大学生だった僕はダメストーンズをCDウォークマンに入れてヘビーローテーションしていた。あの日も何かの

    透けブラ少女は空を翔る - Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2008/09/17
    ブコウスキーに並ぶ才能。
  • あの夏、地上最大のオッパイが。- Everything You’ve Ever Dreamed

    ピーチジョンのエロティックな広告写真。ホームに滑り込む電車の騒音をバックミュージックに、それを舐めるように見ている僕の後ろを一人の淑女が通り過ぎて行った。振り返り横顔を見る。間違いない。彼女だ。あの夏、僕の人生を、僕の未来を変えてしまった地上最大のオッパイの主。ヴィーナス。声をかけようとしたが名前を思い出せなかった。あれほど追い求めた存在であったのに。 1991年の夏。高校三年生だった僕と悪友の西ヤンは腐っていた。真面目にやっている連中、反抗している連中、すべてを斜めから見ていた。授業。夏期講習。体育祭の創作ダンスの練習。すべてをサボタージュして大半の時間を第二校舎の屋上で潰していた。僕らは屋上を「ヘヴン」と名付けて、毎日のように、流れていく雲や富士山のシルエットを眺めたり、昼寝をしたり、買ってきたエロを模写するという意味のない行動をしていた。空は青く、太陽の陽射しは心地よかった。いつか

    あの夏、地上最大のオッパイが。- Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2008/09/06
     「あなたたち、こんなことしてたら駄目になるよ。本物のオッパイを触れないよ」――天才の書いた、奇跡の大傑作。旧来大メディアがソーシャルジャーナリズムに叶わないように、文学も市井のブロガーに叶わない。
  • あなたとは違うんです - Everything You’ve Ever Dreamed

    「あなたとは違うんです」とは中華料理屋の壁のちょっと高いところに置かれたナショナル製14型テレビから飛び出してきたメガネをかけたちょっと偉そうなハゲの言葉で、僕はカウンター席で醤油ラーメンをズズッズーとすすりながらそれを聞いて「うわっ人間くせえオッサンだなあ」という感想しか出てこなかったのだけれど、後ろのテーブルでさっきまでパチンコ大負け選手権をしていたオッサンたちが一斉にハゲを罵りだしたのはなんだか可笑しかった。政治家としては、昔の全日プロレスに喩えると打ち合わせにない投げっ放しジャーマンを喰らわせるようなもので、おいおい昨日のマットと違うことされても困るんだけど、聞いてないよって感じでお世辞にもほめられたものではないけれど、オッサンたちがパチンコでウン万円負けたこととはまったく別の次元の話だ。「最近パチンコでねーウゲッ」「今月いくらつぎこんでると思うんだーオエー」「馬もこねーウェ」オ

    あなたとは違うんです - Everything You’ve Ever Dreamed
    pinball-1973
    pinball-1973 2008/09/05
    福田退陣とおっぱい。とても庶民的で人生の哀切を感じた。
  • 1