[Part3] 細野晴臣が追求する「心地よい周波数」 細野晴臣が好きな音は、音楽用語で「ドローン(drone)」と呼ぶ、持続した低音だ。雨の音、それもどしゃ降りが大好きだという。でも、これまで最も感動したのはもっと周波数の高い、インドネシア・バリ島のジャングルで聴いたセミの声だった。 「ジャングルの中にぽっかり円形にあいたスペースがあって、夕方に座っていたら、ある1点でセミが鳴いた。それがどんどん連鎖していって、最後に360度で鳴き始めた。生のサラウンド。せみしぐれより強烈な音量で、恍惚(こう・こつ)状態になりました。かなり広い帯域で、耳で感知できない周波数も混じっていたと思う」 ほその・はるおみ 1947年生まれ。70年に結成した「はっぴいえんど」で日本語ロックの礎を築く。78年、シンセサイザーを使ったテクノポップで坂本龍一、高橋幸宏と「イエロー・マジック・オーケストラ(Y.M.O.)」