女性のキャリアを阻むものは何か。テレビ局を離れ、海外留学した元記者の山田香奈さん(仮名)は、個々の生き方を尊重する考えが日本に欠如していることが理由のような気がしている。記者時代、スクープを重ねても取材先で投げかけられる言葉は「彼氏いるの」「結婚した方がいいよ」。制度上は「フラット」に見えても、意識の上では「平等」とはほど遠い現実がある。メディア業界の女性のいまを見つめる。 数年前のことだ。山田さん(仮名)は、取材先から繰り返される言葉に戸惑いを隠せずにいた。 「山田さん、彼氏はいるの」「結婚したほうがいいよ」「結婚して実家に帰ったら? ご両親も喜ぶよ」 警察担当だった山田さんが取材で顔を合わせる男性警察官は1日15人ほど。会う人、会う人が同じようなことを口にした。当初は聞き流していたが、連日連夜耳にすると、次第に違和感を抱いた。 「なりたかった記者になり、記者の下積みとされる『警察回り』