前回まで2度に分けてアメリカによるハワイ王朝打倒の話を書いたが、ハワイ以降のアメリカによる19世紀末の太平洋進出を理論的に正当化した人物として、A.T.マハンという人物がいる。彼は『海上権力史論』という著書の中で、欧米史においてシーパワーがいかに重要であったかを論証したのだが、そのA.T.マハンが、1897年の米上院外交委員会の報告書で次のように記している。 「現下のハワイ紛争は、めざめつつある東洋文明の力と西洋文明の力との間の、きたるべき大闘争の前哨戦にすぎない。真の争点は『太平洋の鍵』を支配して優位を占めるのがアジアか、それともアメリカか、ということなのだ。」(勝岡寛次『抹殺された大東亜戦争』p.176所収) 前回、前々回のこのブログの記事を読んで頂ければわかると思うが、マハンがここで「アジア」と書いているのはわが国のことを指している。マハンのこの文章は、すでにこの時点で、アメリカが後