義務教育を受け、高校、大学と進学する。スムーズに学歴のレールに乗って、優良企業に就職する。多くの人が目指す道かもしれない。しかし、いったんそのレールから外れてしまった人はどうだろう。社会の脱落者なのだろうか。 「高校中退」。いじめ、引きこもり、貧困……。様々な背景を抱え、厳しい現実に直面する高校中退者に手を差し伸べる人がいる。 山口真史さん(37)。元高校教師で、中退者支援の学習塾「TOB(とぶ)塾」(兵庫県西宮市)を運営する。彼自身、幼少期に航空機撃墜事件により父を亡くした。その後、ひとり親家庭で育ち、入学した高専からも中退————。しかし、「中退者には、ただ何となく学校に通っているよりも可能性がある」。そう語る山口さんの思いと人生に迫った。 【山口真史(やまぐち・まさし)】引きこもりや不登校、非行、経済的事情などで中等・高等教育のドロップアウトを経験した子どもたちの進学、就労の支援を行