「例えばこの資料。カラーだと見やすいが10円だ。白黒なら1円。本当に要るもの以外はやめておこうとは多分思っていない。民間にいた身から見ると、やはり『社会』が違う」--。 政権交代後1年で霞が関は変わったか。私の問いに、企業の技術者だった川端達夫前文部科学相は9月、大臣用の会見資料を目の前でヒラヒラさせて語った。居並ぶ幹部職員は苦笑いするばかり。 この十数年間、民間では厳しい経費削減が続いてきた。政権交代の目玉、事業仕分けが相変わらず注目されるのは、人減らしや経費の自腹など、身の回りの恨みつらみを晴らしてくれる気がするからだろう。 しかし、霞が関の意識改革は一筋縄にはいかないことを、川端氏は率直に語った。今月の仕分け第3弾で仕分け人の松井孝典・東大名誉教授も「仕分けは単年度の話。抜本的見直しは難しい」と財務省の振り付けに沿う仕分けの限界を指摘した。政治主導はいまや失速寸前だが、改革があと戻り