8月、イスラム国は、イラク北部のシンジャル地域のヤズディ教徒(ヤジディ教徒)の町や村を制圧。殺戮が始まり、住民の大量脱出があいついだ。幹線道をふさがれ退路を絶たれた5万人は、山に逃げ込んだ。米軍は「虐殺を阻止する」として、イスラム国に対する空爆を開始する事態になった。 クルド部隊に同行し、イスラム国の前線があるシンジャル地域に入り、いまも包囲下にあるヤズディ住民の状況を取材した。集団殺害、女性拉致、数万の避難民。ヤズディ教徒の町で何が起きたのか。殺戮と迫害にさらされる人びとの姿を、連載で写真報告する。(取材:玉本英子) (メディアでは「ヤジディ」と表記されていますが、本稿では本来の発音に近いヤズディとします) 第1回 ◆イスラム国の侵攻と迫害の開始 イスラム国が襲撃する1か月半前のシンジャル(クルド名シェンガル)の中心部。クルディスタンの旗が見える。クルディスタン地域政府からは100キロ