巨体のクジラの豪快な漁は有名である。魚の群れを海面に追い詰めて、海面に突進して大きな口を開け、魚群を一気にのみ込む。 南国タイの沿岸に生息するカツオクジラは、独自に省エネ型の漁を編み出したようだ。海面近くで立ち泳ぎをしながら口を開け、中に魚が流れ込んでくるのを待つだけである。立ち泳ぎする時間は平均で約15秒。口を開けたまま、尾びれや胸びれを動かして泳ぐ。 カツオクジラによる立ち泳ぎの漁を観察できるのは、今のところタイ沿岸の集団だけらしい。その一因としてタイ湾の水質汚染がある。富栄養化が進む湾では、特に深い場所の酸素が乏しい。そのため魚は、海面近くへ自然に集まる。 そのため、魚を追い詰めるより、海面で待ち構えていた方がエネルギーを使わず、効率良く魚が食べられる。とはいえ、カツオクジラの成体の大きさは10メートルを超える。建物で言えば3階建て以上の巨体なのである。 “風が吹けば桶屋が儲かる”と