岩手県釜石市で12月再開した「呑(の)ん兵衛横丁」を先月訪れた。全国にファンが多いというこの横丁は、釜石港の近くにあったが、東日本大震災が引き起こした津波で26店全てが流された。港より内陸側の釜石駅の近くに建てられた仮設店舗で営業再開したのは、このうち15店。 中小企業基盤整備機構が店舗を建て、同じ名前の「渋谷のんべい横町」やライオンズクラブの支援を受けて立ち上がった。壊滅的な被害を受けた市街地の復興はまだこれからだが、復活した横丁は「交流の場、安らぎの場として賑わっている」(釜石市産業振興部商工労政課の正木隆司課長)という。 「釜石呑ん兵衛横丁」のゲートをくぐると、照明がともったそろいの看板がずらりと並ぶ。横丁に着いたはいいが、外から中の様子が一切見えず、どこに入ったものかと迷う。人の声がする「とんぼ」の扉を開けると、カウンターの向こう側で店主の高橋津江子さん(70歳)が生ビールをグラス