日野 なおみ 日経ビジネスクロスメディア編集長 月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。 この著者の記事を見る 渡辺 康仁 日経ビジネス副編集長 1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。 この著者の記事を見る
日野 なおみ 日経ビジネスクロスメディア編集長 月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。 この著者の記事を見る 渡辺 康仁 日経ビジネス副編集長 1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。 この著者の記事を見る
ライフネット生命保険が営業を開始して約1年が過ぎた2009年夏のことです。20代の社員に突然こう言われました。「出口さん、この日、1時間ほど時間を空けておいてください」。いったい何の用だろう。と思いつつ、私は、「いいですよ」と答えました。 前日、私は彼に聞きました。 「明日、時間は取ってあるけど、何をするんだっけ」 その若い社員はこう言いました。 「インターネットでのPR企画のため、二子玉川へ行って、多摩川の河川敷に降りてください」 「でえ、何をするんだい?」 「まずですね。今回の企画を考えてくれたウェブマガジン、デイリーポータルZのウェブマスター林雄司さんが、死亡保険に加入しよう、と河川敷に待ち受けています」 デイリーポータルZ? 何だ、それ? ヒーローロボット? 「それで、ですね。この林さんが、3枚の紙皿にそれぞれ、1,000万円、2,000万円、3,000万円と、死亡時の受取金額を書
外村 仁(ほかむら・ひとし) 米系経営コンサルティング会社を経て、米アップルでマーケティングを担当。ジョン・スカリーからスティーブ・ジョブズまで5年間で4人のCEOに仕える。欧州で経営学修士号を取得後に米シリコンバレーで起業、ストリーミング技術の会社を立ち上げ、売却。現在はエバーノート日本法人会長のほか、ファーストコンパスグループ共同代表、スタートアップ数社のアドバイザーやOpen Network Labの起業家アドバイザーなども務めている。『アップル 驚異のエクスペリエンス』(日経BP社)の解説も執筆した。 (写真:村田和聡、以下同) 外村: 米国全体は不景気なんですが、シリコンバレーだけは別世界といった様相で激しい人の奪い合いが起きています。 特にソフトウエアのエンジニアはもう引っ張りだこ。本当に人が採れません。加えて、ソフトウエア業界の垣根が消滅しつつある点が挙げられます。従来ならコ
NTTドコモが契約数の増加に頼った成長戦略を大きく転換した。格安タブレットを窓口としたコンテンツ販売の強化へ舵を切る。赤字を覚悟した「巨人の決断」でタブレットの販売競争が一段と激化しそうだ。 「戦略的な商品。(米アマゾン・ドット・コムの)『Kindle Fire(キンドルファイア)』より、お求めやすい価格で提供する」――。1月22日、NTTドコモの加藤薫社長は新製品発表会で、格安のタブレット端末の投入を宣言した。 3月下旬に発売するのは、中国華為技術(ファーウェイ)製の「dtab(ディータブ)」だ。OS(基本ソフト)に米グーグルのアンドロイドを採用し、10.1型の液晶ディスプレーや4つのCPU(中央演算処理装置)コアを集積したクアッドコアプロセッサーを搭載する。 通常の販売価格も2万5725円とお手頃だが、同社のスマートフォン契約者で動画配信サービス「dビデオ」(月額525円)を半年間契約
家電製品に関するインターネット通販「アマゾン」の価格設定が波紋を広げている。仕入れ値を下回ると見られる価格に、家電量販店から「ルール違反」との声が上がる。「キンドル」を日本に上陸させる「黒船」の影響力はどこまで広がるのか。 「申し訳ありませんが、ウチではこれ以上の価格は出せません」 テレビ売り場の店員は、そう言って申し訳なさそうに頭を下げた。11月上旬、東京都心のある大型家電量販店で、シャープの薄型テレビ「LC-24K7」の値下げ交渉をした時のことだ。 交渉材料に使ったのはインターネット通販サイトの「アマゾン」。サイト上で販売元が「Amazon.co.jp」となっていた同型商品の価格は2万6543円だった。一方、量販店の値札に掲げられた価格は3万3100円で、10%のポイント付き。ポイント分を差し引いても3000円以上の開きがあった。 「ここまで下がりませんか」。アマゾンの価格を見せると、
テーマは何だろう? グローバル時代の真実、雇用喪失時代の悲劇……。いずれもちょっと違う。まぁ、いい。まずは皆さんも、読み進んでみてください。 「道にまだ詳しくなくって…。すみませんが、行き方を教えていただいてもいいですかね?」 先日、仕事の帰り道で乗り込んだタクシーの運転手さんは、目的地を告げるなり、そう話し出した。 数年前から道を知らない運転手さんが、明らかに増えた。だから「またか……」としか思わなかったし、「はい。〇〇方面に向かってくだされば、近くなったら詳しく言いますね」と、いつものように私も答えたのである。 ところがその運転手さんは私がありきたりの答えをするや否や、突然、ご自身の身の上話を始めた。年齢は、恐らく40歳過ぎ。話しぶりからは、50歳にはなっていないと思われる。で、その内容が、何とも考えさせられるものだったのである。 中国語が話せて最初は重宝されていたが… 「いやぁ~、ホ
―― ブランド・ジャパン2012で、ダイソーが初めて10傑入りしました。今回、9位です。 矢野:ブランドっちゅうとあれじゃろ、モカとか、キリマンジャロとか… ―― それはブレンド。とにかく、この順位急上昇は驚きです。確かに、ウェブサイトもすっきりと明るく刷新し、新しいお店はパステル調中心で、以前とはかなり変わりました。丸の内ブランドフォーラムの片平秀貴代表は、ウェブサイトを見て「社員に自由に仕事をさせている雰囲気が伝わってくる」とおっしゃっていました。 矢野:確かにそれはあるでしょうね。私自身は最近、本当に劣化が激しくて。取材でもあまり話さんようにしているんですよ。昔はそれなりの自信というか、強さがありましたが、最近はあまり自信がなくなった。 ―― 日課にしていた朝の商品の搬出作業は、まだ続けていらっしゃるのでしょうか。 矢野:実はつい最近まで、人材派遣会社に外注していたのですが、3月から
米グーグルが、スマートフォンやタブレット端末向けのアプリ配信で、初めての月額課金サービスを導入することがわかった。アプリ1本ごとに売り切りにしている現在の課金モデルだけでなく、毎月少額の料金を利用者から徴収できるようにする。 コンテンツの月額課金は、NTTドコモのiモードなどが成功させたビジネスモデル。アプリ開発会社は、毎月継続的な収入が見込めるため良質なコンテンツを開発できる一方、月ごとの課金が少額になるため、利用者の心理的負担も軽くなる。 グーグルが主導するアンドロイド陣営のスマートフォンは台数では米アップルの「iPhone」に肩を並べるものの、アプリ配信による収益化が課題だった。「日本発」の課金モデルを導入することでコンテンツ会社を囲い込み、アップル陣営に対抗する。 だが、新課金モデルはグーグルのアプリ配信基盤の上だけでしか認めない方針。新たな囲い込み戦略は、外部の課金基盤を使ってす
米国で企業の四半期決算の発表が本格化、日本でも中間決算発表のシーズンを間近に迫り、株式相場が企業業績に一喜一憂する局面を迎える。一足早く発表が本格化している米国では、10月21日ダウ工業株30種平均が1万1808ドルをつけて約2カ月半ぶりの水準を回復。ヘッジファンドからの資金流出に歯止めがかからない中で「業績は思ったほど悪くない」との安心感が広がりつつあり、これが米国株式相場の上昇の一因になっているようだ。 しかし上下に荒っぽい展開ばかりが続く米国株式相場に、持続的な上昇を期待できるかどうか、懐疑的な市場関係者は多い。 米国企業の業績回復を素直に喜べないのは、好調なのが新興国市場でのビジネスばかりで、マザーマーケットである米国内での業績が波に乗り切れないからだ。世界景気の先行きを占うという観点で考えれば、一時は終息したかに受け止められたデフレの影が再び歩み寄りつつあるようにも見える。 米連
「スマートフォンの開発は気軽でいいよな。言語の設定さえ変えれば、各国で使えるんだから」 そんな声を耳にしたことがある。 アップルのiPhoneが頭に浮かぶ。確かに、白物家電などは、地域ごとに商品をローカライズすることに一苦労する。「パナソニックの欧州白物家電戦略」でも取り上げたように、生活文化に根ざした道具は、思いもよらない使い方に戸惑いながら、開発しなければならない。 一方で、スマートフォンはその必要がほとんどなく、対極に位置すると思われている。 そもそも、製品自体がグローバルなコミュニケーションを念頭においたモノだという特性があるのだろう。しかも、洗濯機といった白物家電のように、生活に根ざした歴史を負っていない。 つまりスマートフォンとは、ここ数年で、世界の人がいっせいに目にして、使い方を学び始めたばかりのデバイスなのだ。だから、冒頭の発言をした人のように、スマートフォンが地域ごとの生
冒頭のイラストは、年賀の挨拶を兼ねている。さよう、賀詞兼任コラム。二兎を追う形だ。 ご存知の方もあるだろうが、私は虚礼廃止の建前を貫徹すべく、この十年来、郵便局経由のリアルな年賀状を廃絶している。 そのくせ、生来の小心ゆえ、返事を書かずにいることに毎年心を痛めている。今年は「年賀状の返事を書かない件についてのお詫びのハガキ」を投函しようとさえ考えたほどだ。最後まで迷った。うむ、本末転倒。 ん? 不義理を気に病むぐらいなら、変な意地を張るのはやめたらどうだ、と? お言葉痛み入る。私は素直に年賀状を書くべきなのかもしれない。 でも、それができないのが偏屈者の宿命で、素直になったら今度はコラムが書けなくなる。ダブルバインド。因果な稼業だ。 イラストのもうひとつの意味は、お察しの通り、麻木スキャンダルだ。いさぎよくなき二兎なるウサギ。具体的に申せば、麻木久仁子さんと大桃美代子さんおよび山路徹氏(以
日本の経済社会のこれからの長い将来を展望した時、もっとも大きな問題が人口問題だということについては多くの人が同意するでしょう。 では、人口変化はなぜ問題となるのでしょうか。そしてそれにどう対応すべきなのでしょうか。ここではこうした問題を「人口オーナス」という概念を使って考えてみることにします。この概念を使うと、人口問題についていくつかの新しい常識が浮かび上がるとともに、この人口オーナスこそが日本経済の長期的課題の原因だということが分かってくると思います。 人口オーナスとは何か? 読者の皆さんは「人口オーナス」とは聞き慣れない言葉だと思うでしょう。これは「人口ボーナス」という概念の逆の概念として出てきたものです。 人口ボーナス・オーナスという考え方は、従属人口指数という概念を使って説明するのが便利です。人口は「生産年齢人口」と「従属人口」に分かれます。生産年齢人口は、15歳から64歳であり、
今回からシリーズでスタートするこのコラムは、会計の素人のための財務分析講座です。財務分析といっても流動比率や自己資本比率などの財務分析指標を説明するものではありません。財務諸表から会社の状態を読み解くコツを説明するものです。つまり、財務諸表のどこを見れば何がわかるのかを説明していきます。 素人でも財務諸表は読み解ける 今回の第1回と次回の第2回は財務分析の基礎的な方法論の説明ですが、第3回からは話題の企業を例にとって実際に財務分析をしていきます。 このコラムは会計に苦手意識を持つ人のためのものです。会計分野に深い知識がなくても財務諸表を読み解くことは可能です。このコラムを執筆する私自身が元々機械エンジニアですし、いままでに仕訳の勉強をしたこともありません。そんな会計の素人でも財務分析のポイントさえわかっていれば、財務諸表から会社の状態を読み解くことができます。 ではこれから財務諸表が読める
「結局、塩谷(立)さんしか残らなかったんだ、静岡の自民党の衆議院議員。本当にすごい結果ですね…」 歴史的な政権交代が明らかとなって、数時間。衆院選の開票結果がほぼ出尽くし、日が変わった31日の午前1時過ぎ。死闘に破れ、燃え尽きた片山さつきは、意地で居残り続けた記者団を前に、つぶやいた。 閑散とした広大な事務所の片隅で テレビは代表取材で1回のみ。壇上で敗戦の弁を述べると、片山は支援者とともに早々にプレハブ小屋の2階の奥にこもってしまった。 テレビ各局は既に撤収を始め、支援者の多くも帰路に着き、閑散とした広大な事務所の片隅で、後回しにされた紙媒体の記者は果たされるか否か分からない「囲み取材」のために、じっと待っていた。 業を煮やして1人、また1人と記者が消えていく。午前1時を回ろうかという頃、スタッフの1人から「ペン記者のみ、片山が会うと言っています。カメラはすべてNGです」と告げられた。
上野 『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(以下『メンテナンス術』)にはいろいろ感心させられましたが、ちょっと違和感を感じたところもありました。ジェンダーについて、あなたは意図的にスルーしたでしょう。 それは、「洗濯問題」。カップルの間で、どちらが洗濯をするかを考えるというくだりです。 コンビニのパックごはん、結構おいしいよ(笑) 深澤 相手が洗濯すると衣類がくしゃくしゃになる場合に、どうするかという部分ですね。くしゃくしゃになるのがイヤだったら全部自分でするか、相手にやってもらうことに意味があるからくしゃくしゃでも我慢するか、くしゃくしゃにされて困るものだけ自分で洗濯して、あとは相手に任せるかなど、選択肢を挙げました。 上野 このくだりは、女性の読者から反発を受けると感じました。家事に対する要求水準は、女の方がどうしても高い。「他人に任せておけない」というのが、女がはまる
とっさに嘘をついてしまうことがある。悪意もなければ、本当のことを言ってもさして影響はないのに、なぜか嘘が出る。でも、もし部下の「とっさの嘘」で、責任を負わされる羽目になったら、たまったもんじゃない。 「健康問題が理由でしょ? 健康問題まで任命責任になっちゃうわけ?」と、責任を回避したのは、どこぞの総理大臣(注1)。ゴルフができて、仕事ができないわけ?…とも思いますけど。いやいや、別に健康問題が「嘘」って言っているわけではありませんので、あしからず。 注1)鴻池祥肇・前官房副長官が週刊誌に女性問題を報じられ、辞任したことについての麻生太郎首相のコメント。 さて、嘘は嘘でも、そんな(どんな?)「考え抜かれた嘘」ではなく、ある一社員の「とっさの嘘」が、会社の上層部までをも動かす大事件が知人の会社で起こった。 きっかけは、新商品の役員プレゼン当日の、ある出来事だった。プレゼンターはプロジェクトリー
前回は、たくさんの方々から賛否両論の貴重な御意見を頂き、まことにありがとうございました。 この連載の視点は、「双方向の見方がある」ということです。 車を運転される方ならばお分かりになるでしょう。運転している時に歩行者に対して持つ感情と、歩行者として歩いている場合に、車側に対して持つ感情は正反対ではないでしょうか。同一人物でもその置かれた立場と状況で、まったく逆の見方をするものです。そして、どちらの意見が正解ということもありません。 これと同様に、お店とお客の双方の言い分を知ることで、相互理解が生まれ、お店とお客の永い付き合いが生まれると私は考えています。 日経BP社には、「日経レストラン」という雑誌もありますが、もしも私がそのフィールドでこの連載を始めたとしたら、当然ながら飲食業界誌ですので、お店の視点からの意見がほとんどになる、と想像できます。店と客、両方の視点でお話しするために、この場
友人である中川淳一郎さんから今年の2月頃に「今、インターネットに関する本を書いている」と聞いて「それは楽しみだ。出版された必ず買うよ」といった会話をしました。4月になって新聞の朝刊の書籍広告欄に中川さんの名前があったので「お、ついに、あの時、書いていると言っていた本が出版されたのだな」と思ったのですが、その横に書かれている書名を見て「これは、まいったな」とつぶやいてしまいました。何しろ、その本のタイトルが『ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言』というものだったからです。 自分が商売のフィールドに選んでいるジャンルが「バカと暇人のもの」と決めつけられて嬉しい人はいないでしょう。「必ず買うよ」と約束していなければ、読まずに無視したかもしれません。 しかし約束は約束だし、友人である中川さんが、タイトルはともかく、いったいどんなことを書いているのか、興味を抑えることも出来ず、その日の
インターネットで、見知らぬ相手と一緒に楽しむネットゲーム(オンラインゲーム)、通称「ネトゲ」。しかしネトゲのバーチャル空間に長時間没入するあまり、リアルな社会生活が送れなくなる人がいる。 ゲームに熱中して夫や子供をないがしろにする妻。ネット上のバーチャル恋愛に没頭する女性。息子のゲーム中毒が原因でうつ病になった父…。韓国では、ゲームに数十時間熱中して死に至ったケースも何件か報道された。 こうしたゲーム依存症・中毒患者を、「ネトゲ廃人」と呼ぶ。ネットゲーム依存は日に日に深刻化しているが、その実態は知られず対策も講じられていない。「ネトゲ廃人」たちは、何を思いどう生活しているのか。ジャーナリストの芦崎治氏が全国の「ネトゲ廃人」を取材し、その証言をまとめた。 (聞き手は日経ビジネスオンライン 大塚 葉)
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