◆「菅さんに冷却水必要」とメモ 頭抱える班目さん。 固まった専門家たち 全電源喪失と聞いた時に、菅さん(菅直人首相=当時)は官邸の誰よりも早く反応しました。よく分かってたんですね。「これは大変なことだよ」と。以後、この言葉を何度聞いたか。独り言のように言い続けていた。 当時のノートに「なぜ非常用ディーゼルエンジン(発電機)まで止まるんだ」って書いてある。これ、菅さんの発言です。「菅さんに冷却水が必要」。かなりテンションが上がってましたが、あの段階では仕方ないと思います。何も分からなかったから。 とにかく早く電源車をかき集めないといけない。首相執務室にホワイトボードを持ち込んで、秘書官たちが手分けして電話して「インター通過」とか、どんどん書き込んだ。菅さんも携帯電話でどこかに電話して「必要な発電機の重さと大きさはどれぐらいなんだ」と。何で総理にそんなこと聞かせてるんだ…と思った。でも、専門家
昨年秋、福島県各地の下水処理場の汚泥から相次いで検出された半減期の短い放射性ヨウ素131。福島第一原発からの放出を疑う声も出ていたが、最近は放出量は激減しているのに、福島以外の全国各地で検出され続けている。専門家からは甲状腺がんなどの治療で使われたヨウ素が、患者から排出されて検出された、との見方が強まっている。 全国の自治体が調べた下水道汚泥の放射性物質の濃度の値を、国土交通省がまとめている。事故後間もないころならともかく、札幌市や長崎市など福島から遠く離れた地域でも断続的にそれなりの濃度の放射性ヨウ素が検出されている。 仮にこれが福島第一に由来したものとすると、今も溶け落ちた核燃料が連鎖的な核分裂(臨界)をし、放射性ヨウ素が漏れ続けていることになる。ただ、核燃料の冷却が進み、大量の放射性ヨウ素が出る可能性は低い。
茨城県神栖市北浜の県鹿島下水道事務所に建設していた風力発電一基が完成し、二日から運転を始めた。同県内の風力発電設備は民間の五十五基があるが、県の設備は初めて。定格出力(安定して出せる最大出力)は二千キロワットで、全国の下水処理場に設置された風力発電設備では最大規模という。 (北爪三記) 完成した風力発電設備は高さ約八十メートルで、風車の羽根三枚はいずれも長さ約四十メートル。風速四メートルから回り始め、風速十三~二十五メートルで出力二千キロワットとなる。 同下水道事務所内の深芝処理場で使う年間電力量の二割にあたる四百四十八万二千キロワット時を賄うことが期待される。CO2も千四百トンの削減を見込む。一月中の試運転では、平均して毎時六百キロワット発電できることが確認された。 風力発電設備は省エネとCO2削減のため、安定した風のある海沿いの同所で二〇〇九年度から工事を進めてきた。新エネルギー導入促
明治時代に活躍した美術評論家岡倉天心(一八六三~一九一三年)の人間像を描く映画「天心」の製作に、映画監督松村克弥さん(46)=東京都荒川区=が取り組んでいる。主な舞台は、天心が晩年に暮らした茨城県。「映画で被災地を元気に、日本を元気にしよう」と意気込み、草の根の資金協力を求めている。 (編集委員・吉岡逸夫) 松村さんは「オールナイトロング」「き・れ・い?」などの映画を世に出しているが、三年ほど前、美術関係者との話をきっかけに天心のことが気になるようになった。 日本の近代美術を育て、海外に紹介するなど、偉業をなしとげた人物だが、彼をテーマとした映画はない。天心を調べる中で、芸術家で思想家、官僚で教育者といった功績の一方、女性スキャンダルなども垣間見えた。「そんなドラマチックな人間性にひかれ、映画にしたいと思った」と松村監督は語る。
(上)警視庁の警察官から職務質問を受けた現場に立つ男性=仙台市で(下)銃刀法違反とされた、男性の十徳ナイフ 東日本大震災の被災地で、がれきの撤去作業をしていた仙台市太白区の男性(47)が、警察官から職務質問(職質)を受け、缶切りやドライバーなどが付いた「十徳ナイフ」を持っていたことから、銃刀法違反容疑で約三時間にわたり任意で取り調べを受けた。男性は「被災地の実情を無視した捜査権の乱用」として十九日、弁護士と連名で警察当局に公開質問書を提出し、説明を求めた。 (大野孝志) 男性と弁護士によると、昨年十月九日午後四時ごろ、同市若林区の畑で、津波で流れ着いたがれきを撤去するボランティアをしていたところ、市内に派遣されていた警視庁の警察官から「そのがれきをどこへ持っていくんだ」と職質を受けた。
全国の病院や診療所で三年に一度行われる「患者調査」に、福島第一原発事故や大震災が影を落としている。調査は昨年秋に行われ、結果は早ければ今年十二月にも公表されるが、福島県の全域が除外されていた。この“福島外し”に十分な説明はなく、県民らからは「被ばく隠しでは」との疑念の声も聞かれる。調査は一体どのような理由で見送られたのか。 (小坂井文彦、小倉貞俊) 【こちらは記事の前文です】 記事全文をご覧になりたい方は、東京新聞朝刊または、携帯電話の有料会員サービス「東京新聞・東中スポ」をご利用ください。 東京新聞は、関東エリアの駅売店、コンビニエンスストアなどでお求めいただけます。 購読・バックナンバーをご希望の方は「新聞購読のご案内」をご覧ください。 掲載日やキーワードから記事を探す「記事検索サービス」もご利用ください。
日米両政府が、東日本大震災で太平洋に流出した大量のがれきによる海洋汚染や、米国漂着時の処理をめぐり、年明けから本格的な協議に着手することが二十九日分かった。複数の日米両政府関係者が明らかにした。 国立環境研究所などの推計では、震災で発生したがれき約二千五百万トンのうち、約三百万トンは太平洋に流出。九月、日本から約三千百キロ離れた北太平洋の米ミッドウェー諸島付近で、「福島」との表示がある小型船や家電製品が大量に浮いているのがロシア船によって見つかった。 米海洋大気局(NOAA)によると、これらは海流に乗って、早ければ来年三月にも米ハワイ北西部に漂着。その後、米本土の西海岸にも漂着する可能性が高い。 米政府は、大量のがれきが船舶の運航障害や観光産業への打撃となる上、放射性物質を含んだがれきによる環境被害も起きかねないと懸念している。 日本政府も、がれきの位置や量、今後の動きを人工衛星などで正確
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。 原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。 しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。 これら二件の漏出と放出だけで、原
横浜市のマンション屋上などで放射性ストロンチウムが検出された問題は、福島第一原発の事故とは関連が薄く、過去の核実験が原因との見方が強まってきた。核時代の負の遺産が現在にも影響を及ぼし続けていることになるが、大気圏内での核実験は三十年以上も昔の話。そんな「過去の亡霊」が、市街地にも姿を見せるというのはどういうことなのか-。 (榊原智康) ストロンチウムは骨に沈着して白血病を引き起こす原因になるとされる。文部科学省は海外での核実験などの影響を把握するため一九五〇年代から、雨水やちりなど放射性降下物の濃度を全国各地で調べてきた。 大気圏核実験は五〇~六〇年代に盛んになり、中国が八〇年に行ったのが最後。ストロンチウムの濃度は大気圏核実験のたびに上昇し、八六年のチェルノブイリ原発事故でも高い値が観測された。それ以後、大気圏核実験や大きな原発事故はないが、不検出にまでは下がらず、微量ながら今も降り注い
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