「再び世界の灯台になる」大統領が就任式で語ってから1年。アメリカ自身の羅針盤が狂い始めている。コロナ死者80万人超、インフレで苦境が続く。「民主主義を取り戻す」航海で、バイデン号は視界不良に。その霧は濃くはなれど、晴れることはなさそうだ。 (NNNワシントン支局長 矢岡亮一郎) 「バイデン政権は想像を超えるスピード感だ」。ワシントンの外交筋は語る。2022年最大のイベント、11月の中間選挙での勝利に向け、大統領は成果を急いでいる。 その「焦り」が露呈したのが、21年8月末のアフガニスタンからの撤退だった。山岳地帯が多いアフガンでは冬場、タリバンの動きは鈍る。にもかかわらず「夏の撤退」を決断したのは、同時多発テロから20年という節目を意識した「政治的動機」だった。しかし、撤退間際のカブール陥落、そして13人の若き米兵が犠牲になる「追い打ち」に国民は激しく動揺した。アフガン撤退を境にバイデン大