「家族はいちばん身近な他人」という言葉もあるが、マイク・ミルズ監督は、これまでも自身の家族を題材に、一筋縄ではいかない人と人との関係性を描いてきた。前作『20センチュリー・ウーマン』(2016年)では、自身の母をモデルに3世代の女性と少年のひと夏を描き、『人生はビギナーズ』(2010年)は、母の死後にゲイであることを告白した父が題材だった。そして、新作『カモン カモン』では自身の子育てに着想を得て、9歳の甥の面倒を見ることになったラジオジャーナリスト・ジョニー(ホアキン・フェニックス)の姿を描いている。 「他者とどうコミュニケーションをとればいいのか、どうすれば良い関係性を築くことができるのか、いつも途方に暮れている」というマイク・ミルズ。家族のあり方や、他者との「対話不可能性」というテーマをはじめ、ホアキン・フェニックスとも共鳴した「すべてを説明しない」という姿勢についても話を聞いた。