にゃかにゃか気持ち悪い本であった。 微妙に合っているけど、微妙に(または大幅に)間違っているから。おまけにインタビュアーも、 はい。ちょっとかじり読みしたことを、知ったふうに口走ってしまいました。(本書p.150) って何だよ。 たとえば橋爪のマルクス評価は「ニュートンに匹敵する」(本書p.48)という高いものであるが、そう評価したすぐ後に、正規と非正規の問題、正社員と派遣労働者の問題、すなわち格差の問題は「こういうふうになっていない」(本書p.49)というのである。なぜなら「マルクスのモデルは、同一労働同一賃金」(同)だからだと。 橋爪は別のところでもくり返しこの問題にふれていて、マルクスは「すべての労働は単純労働に一元化されていて、労働の質は無視されていて、時間で測れる」(本書p.134)とか、「すべての労働は同一・同質で、複雑労働とか技術労働とかは一切ないと考える」(本書p.154)