令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第18回公判が29日午前10時半から京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれ、遺族らによる調書の読み上げが再開する。27日の前回公判から量刑に関する審理が始まり、遺族が直接質問する機会もあったが被告は「後に答える」と繰り返し、明確な回答を避ける場面が目立った。遺族らの思いが込められた問いかけへのあっけない姿勢に、法廷は虚無感に包まれた。 【表でみる】青葉真司被告の孤独な半生 ■「目には目を」を疑問視 前回公判は検察、弁護側双方の3回目の冒頭陳述から始まった。事件の凄惨(せいさん)さや残虐性を訴えた検察側に対し、弁護側の主張で注目を集めたのが死刑制度そのものへの疑問だった。 弁護側の冒頭陳述は、異例ともいえる発言から始まった。「死刑を求刑されると思います」。そしてこう続けた。「人を殺すことは悪いこ