2020年4月1日から改正健康増進法が全面施行される。この法律の目的は、いわゆる「望まない受動喫煙」の害の低減を目指しているが、受動喫煙防止元年を前に改めて受動喫煙について考えてみたい。 受動喫煙に害はあるのは本当か タバコを吸う喫煙行為は法律に違反しない。だが、過去の最高裁判決では、喫煙の権利を濫用することは許されず、タバコを吸わない人が喫煙者のタバコ煙によって、何らかの害を受けたり迷惑を感じる場合には喫煙の自由は制限されるとしている(※1)。 つまり、法的には受動喫煙にさらされない権利のほうが、タバコを吸う権利よりも優先的に上位になる。 では、健康への害はどうだろう。タバコを吸わない人は、受動喫煙によって健康を害するのだろうか。 受動喫煙による健康被害を世界で初めて立証したのは日本人研究者の平山雄だ(※2)。平山の論文をきっかけにして世界中で研究が始まり、その後、多くの疫学研究がなされ