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労働法の検索結果1 - 40 件 / 67件

  • 結社/経営体としての日本共産党 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    例の働き方改革の時に「ごはん論法」という名文句を案出し、左派関係者の間でミームとして一気に広がったことで我々労働関係者の間でも記憶されている神谷貴行(紙屋高雪)さんが、日本共産党を除籍・解雇されたとブログで書かれています。 日本共産党を除籍・解雇されました 神谷さんを除籍・解雇した日本共産党の言い分が正しいのか、それとも神谷さんの言い分が正しいのか、といったことについてはここでは一切論じるつもりはありません。気分的には神谷さんに同情的ではありますが、ここで取り上げるのはそういうことではなく、「除籍・解雇」と異なる二つの概念が中ぽつでつなげて書かれていることに興味を惹かれたからです。 神谷さん自身はこう書かれています。 私・神谷貴行は、2024年8月6日付で日本共産党から除籍されました。 また、本日(2024年8月16日)付で日本共産党福岡県委員会から解雇されました。 これらについてはいずれ

      結社/経営体としての日本共産党 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    • 違法や不当を糺すのは業所管官庁だけではない、というよりむしろそうじゃない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

      某東京新聞の記者さんが、林芳正官房長官に、「政府に芸能や音楽業界をしっかり監督し、指揮するような監督官庁がないことでセクハラが横行しているとの指摘もある」との議論を提起したそうですが、 東京・望月記者、林長官に持論展開「芸能を監督する官庁がないからセクハラ横行」 松本人志さん報道も言及 なんだか、業所管官庁といえば親も同然、所管業界といえば子も同然、箸の上げ下ろしからすべて業所管官庁様のご指導の宜しきを得なければ何事もまともに動かないかの如き、昭和感覚満載の発言でありますな。 業所管官庁というのは、許可制とか届出制とかといった形で事業自体を所管しているに過ぎず、所管業界の企業が何か違法なことをしたり不当なことをしたりした場合に、それらをすべて業所管官庁が面倒見るというわけではありません。 当たり前ですが、建設会社で労災事故が発生したら国土交通省が面倒見るのではなく、厚生労働省の労災担当部局

        違法や不当を糺すのは業所管官庁だけではない、というよりむしろそうじゃない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
      • 牛窪恵『恋愛結婚の終焉』@労働新聞書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

        月イチで連載している『労働新聞』の書評、今回は牛窪恵さんの『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)です。 【書方箋 この本、効キマス】第44回 『恋愛結婚の終焉』牛窪 恵 著/濱口 桂一郎 岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を打ち出しても、人口減少の流れは一向に止まらない。結婚した夫婦の子育て支援に精力を注入しても、そもそも若者が結婚したがらない状況をどうしたら良いのか。この袋小路に「恋愛と結婚を切り離せ!」という衝撃的なメッセージを叩き込むのが本書だ。 でも考えてみたら、なぜこのメッセージがショッキングなのだろう。20世紀半ばまでの日本では、恋愛結婚は少数派で、大部分はお見合いで結婚に至っていたはずなのに。 そこで著者が元凶として指摘するのが、近代日本に欧米から導入され、戦後開花したロマンティック・ラブ・イデオロギーだ。結婚には恋愛が前提条件として必要だという、恋愛と結婚と出産の聖なる三位一体

          牛窪恵『恋愛結婚の終焉』@労働新聞書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
        • 桃色争議 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

          朝の連続テレビ小説「ブギウギ」は、いよいよ桃色争議が佳境に入っていくようですが、そういえば2年前に紹介した『日本人の働き方100年 定点観測者としての通信社』に、この桃色争議の写真があったのではないかと思い出しました。 テレビでは「梅丸少女歌劇団」となっていますが、もちろんこれは現実に存在した松竹少女歌劇団のことです。この少女たちが、1933年(昭和8年)に起こしたのが、有名な桃色争議です。 『日本人の働き方100年 定点観測者としての通信社』に載っているこの写真は、東京の水ノ江滝子を中心とする争議団で、大阪の三笠静子(テレビでは福来スズ子)らが参加したものではありませんが、でも当時の争議の雰囲気が良く伝わってきます。 多くの人は勘違いをしていますが、戦時体制下に近いこの時代でも、今日に比べると遙かに多くの労働争議が起こっていたのです。 この1933年には、全国で1897件の争議が起こり、

            桃色争議 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
          • 内閣府(とりわけ幹部)に労働法研修を(追記あり) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

            毎週送られてくる『労働新聞』。私の書評の番でないときは、だいたい「ふーん」といいながらめくっていくんですが、今回(7月8日号)には驚愕しました。「今週の視点」の「驚愕のアイデアが優勝飾る」という記事。 https://www.rodo.co.jp/news/179307/ 内閣府が全職員を対象に開いた賃上げに関する政策コンペで、「残業の業務を従業員が個人事業主としてこなし、手取り増を図る」という施策が優勝した。労働者性をめぐるこれまでの議論を完全に無視しており、実現可能性には疑問符がつく。厚生労働省にはぜひ「指揮命令が必要な業務だから労働者を雇う」という基本のキを、内閣府に教授してもらいたい。 あまりのことに、内閣府のサイトに飛んで行ってみたら、確かにありましたぞなもし。 「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」を開催しました 今般、内閣府全職員を対象に、「賃上げを幅広く実現

              内閣府(とりわけ幹部)に労働法研修を(追記あり) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
            • バラモン左翼と貧困ビジネス右翼 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

              もはやアメリカの英雄と化したかに見えるドナルド・トランプが、副大統領候補に選んだヴァンス上院議員というのは、ラストベルトの虐げられた白人労働者の声をこういう本にした人のようです。 トランプ氏、副大統領候補にバンス上院議員を選出…白人労働者層を描いた回想録がベストセラー オハイオ州出身のバンス氏は、2016年出版の回想録「ヒルビリー・エレジー」で、製造業が衰退した「ラストベルト」の一つである同州の貧困に苦しむ白人労働者層の姿を描いた。同年大統領選で、トランプ氏を白人労働者が熱狂的に支持した現象が理解できるとして、ベストセラーとなった。 ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち ニューヨーク生まれの富豪で、貧困や労働者階級と接点がないトランプが、大統領選で庶民の心を掴んだのを不思議に思う人もいる。だが、彼は、プロの市場調査より自分の直感を信じるマーケティングの天才だ。長年に

                バラモン左翼と貧困ビジネス右翼 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
              • 「学び直し」が「学歴ロンダリング」になるメンバーシップ型社会 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                何やらネット界隈でまたぞろ「学歴ロンダリング」がバズっているようです。 そういう議論に加わる気はこれっぽっちもありませんが、政府が鉦や太鼓で「学び直し」だ「リスキリング」だと大騒ぎしてくれていても、肝心の日本人の心性はこれっぽっちも変わっておらず、そういうのは唾棄すべき「学歴ロンダリング」であるというメンバーシップ感覚溢れる強い信念に揺るぎはなさそうです。 いうまでもなく、ジョブ型社会においては学歴、すなわち教育訓練機関の修了証書(ディプロマ)というのは、あるジョブを遂行するだけのスキルを身につけていることを証明しますよ、という資格証明なので、いまそれだけの学歴がないためにそのジョブに応募することができない人が、学び直しをして、れっきとしたディプロマをもらって、そいつを持って揚々と応募し、めでたく採用されてそのジョブに就く、というのは、まさに出世街道の王道です。別にほかの会社に転職するだけ

                  「学び直し」が「学歴ロンダリング」になるメンバーシップ型社会 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                • マイケル・リンド『新しい階級闘争』@『労働新聞』書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                  近頃世界的に無責任な言説をまき散らすポピュリストが蔓延して困ったものだ、・・・と感じている人は多いだろう。しかし、これは階級闘争なのだ。知的エリート階級に経済的のみならず知的にも抑圧されているノンエリート労働者階級の「反乱」なのだ。 「階級闘争」という言葉は時代錯誤に見えるかも知れない。かつて産業革命時代に資本家階級と労働者階級の間で闘われた熾烈な階級闘争は、20世紀中葉に労働組合による団体交渉と福祉国家を基軸とする階級平和に移行し、マルクスの教えを古くさいものとした。だが20世紀の末期、再び階級闘争の幕が切って落とされた。先制攻撃を加えたのは経営管理者と専門職からなる知的上流階級だ。経済停滞の元凶として労働組合と福祉国家が叩かれたことはよく知られている。しかし、ネオ・リベラリズムによる経済攻勢と手に手を取って粗野な労働者階級文化を攻撃したのは、左派や進歩主義者たちによる反ナショナリズムと

                    マイケル・リンド『新しい階級闘争』@『労働新聞』書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                  • 「労使双方が納得する」解雇規制とは何か──解雇規制緩和論の正しい論じ方@『世界』2013年5月号(再掲) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                    先週水曜日(9月4日)に、河野太郎氏が解雇規制緩和を語ったということで、今から11年前の文章を古証文よろしく再掲したところですが、 解雇規制緩和論の誤解@『労基旬報』2013年5月25日号(再掲) その後も、今度は小泉進次郎氏が解雇規制緩和を謳ったとかで、ネット上には解雇規制をめぐるあれこれの議論が氾濫していますが、さすがにこの10年間の議論をよく踏まえているのも多い一方で、脳内が20年前から進化していない御仁も結構いるようなので、ほぼ同じころに書いたものですが、少しだけ詳しいのを一部省略して再掲しておきます。 「「労使双方が納得する」解雇規制とは何か──解雇規制緩和論の正しい論じ方」 @『世界』2013年5月号 ・・・・ 日本の解雇規制は厳しいのか? さて、ここまで読まれて読者はいぶかしく感じておられると思う。筆者は日本の解雇規制が「先進国でもっとも厳しい」という日経新聞の論調を批判しな

                      「労使双方が納得する」解雇規制とは何か──解雇規制緩和論の正しい論じ方@『世界』2013年5月号(再掲) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                    • これがスウェーデン流のストライキ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                      イーロン・マスクがスウェーデンのテスラ社に対する全面ストライキに「正気の沙汰じゃねえ」と口走っているようですが、いやいやテスラ社の工場のストライキに港湾労働者から郵便局の職員までが同情ストを展開するのが、スウェーデンという国の国柄というものなんです。アメリカみたいに企業中心社会ではないので。 久しぶりにフィナンシャルタイムズから。 Tesla strikes in Sweden are ‘insane’, says Elon Musk An escalating strike against Tesla by a group of Swedish unions has been branded “insane” by Elon Musk as the industrial action threatens to disrupt the US carmaker’s operations in

                        これがスウェーデン流のストライキ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                      • 建前はジョブ型、実態はメンバーシップ型の学校教師だから - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                        東京高校受験主義という方が、こんな呟きをしていて、 本当に政治家に届いて欲しいんだけど、教え子の大学生と話をしても、教員に興味のある学生はたくさんいるのに多くが諦めます。なぜか?教員免許取得のハードルが高すぎる。 例えば、早稲田大の学生は優秀なのに、教育学部初等教育学専攻以外は、小学校教員免許を取得できない。あり得ないよ。(続) 明治大学も、法政大学も、中央大学も、都内のほとんどの有名大学は正規の授業で小学校教員免許を取得できません。 そもそもほとんどの学生は小学校教員を希望しても免許すら取れない。応募できる分母が非常に限られているのだから、倍率が低下し続けるのは当然。 また、理系の学生も教員希望は多いのに、現実、ほとんどの学生が取得できません。必要取得単位数が多すぎて授業や実験との両立が困難だからです。優秀で真面目な子ほど、教員への道をあきらめているのが実態です。 教員免許は廃止一択。ぜ

                          建前はジョブ型、実態はメンバーシップ型の学校教師だから - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                        • hamachanブログ2023年ランキング発表 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                          まだ年末までに半月ありますが、そろそろ今年の総決算ということで、本ブログの2023年ランキングを発表します。 まず第1位は、これは正直やや意外でしたが、7月の「ナチス「逆張り」論の陥穽(再掲) 」でした。これはそもそも昨年のランキングで第3位になった記事ですが、昨年は朝日新聞の耕論に対するコメントだったのを、今年田野さんの本が出て話題になっていたので再掲したものです。 私はそもそもこの問題をナチス側からではなくナチスに叩き潰された社会民主党や労働組合の側から見ているので、こういう感想にならざるを得ないのです。 ナチス「逆張り」論の陥穽(再掲)(ページビュー数:5,905) 最近、田野さんの本が話題になっているということなので、この点はきちんと明確にしておかなければならないと思い、昨年のエントリをそのまま再掲することにしました。 http://eulabourlaw.cocolog-nift

                            hamachanブログ2023年ランキング発表 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                          • 第1回産業競争力会議雇用・人材分科会有識者ヒアリング(平成25年11月5日) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                            自民党総裁選で解雇規制の話がますます迷走しているようですが、たぶんあんまりよくわかっていない人々に噛んで含めるように可能な限りわかりやすく説明した議事録がありますので、これももう11年前のものですが、再掲しておきます。 第2次安倍内閣が発足して1年足らずの平成25年(2013年)の11月に、官邸に設置された産業競争力会議の雇用・人材分科会に有識者として呼ばれてお話したものです。 第1回産業競争力会議雇用・人材分科会有識者ヒアリング議事要旨 私からは若干広く今後の労働法制のあり方について、雇用システムという観点からお話をさせていただく。 ここ半年近くの議論について感じていることを申し上げる。雇用というものが法律で規制されている、その法規制が岩盤であるといった言い方で批判をされているが、どうも根本的にその認識にずれがあるのではないかと感じている。 むしろ私が思うのは、現代の日本では特にこの雇用

                              第1回産業競争力会議雇用・人材分科会有識者ヒアリング(平成25年11月5日) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                            • ドロサヨ(泥臭左翼)の時代 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                              「桐島、逃亡生活やめるってよ」というニュースが駆け巡った一日でしたが、彼が関わっていた「東アジア反日武装戦線」の爆弾事件はちょうど私の高校生時代で、あれからほぼ半世紀が経ったんだな、という感慨が湧いてきます。 そして、この頃のこういう動きが、左翼というのをそれまでの近代的、科学的な指向のイデオロギーから、それとはむしろ真逆の、反近代的、反科学的な指向のものと受け止める考え方の構えが一般化していったのだな、と思い返されます。 このあたり、もう10年以上も前に、演歌の本をめぐってこんなことを書いたことがありました。 新左翼によって「創られた」「日本の心」神話 わたくしの観点から見て、本書が明らかにしたなかなか衝撃的な「隠された事実」とは、演歌を「日本の心」に仕立て上げた下手人が、実は60年代に噴出してきた泥臭系の新左翼だったということでしょうか。p290からそのあたりを要約したパラグラフを。

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                              • アマゾン配達員に労災認定 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                今朝の各紙にでかでかと載っていますが、契約上はフリーランスということになっているアマゾン配達員に労災認定がされたようです。 アマゾン配達員に労災認定 フリーランスでも雇用された労働者と判断 ネット通販「アマゾン」の配達を担う60代の男性運転手について、横須賀労働基準監督署が配達中のけがを労働災害と認定したことがわかった。男性はフリーランスとして下請けの運送会社と契約して働くが、働き方の実態などから会社に雇用された「労働者」と同様だと判断された。 男性と代理人弁護士が4日、記者会見で明らかにした。弁護士らによると、労基署は9月26日付で決定したという。 フリーランスは自身の裁量で働ける一方、労働関係法令で保護される「労働者」とは扱われず、原則としてけがの治療費や休業時の賃金などが補償される労災保険の対象にはならない。アマゾンの配達をフリーランスで担う運転手がけがで労災認定されたのは初めてとみ

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                                • 高齢者の定義は・・・55歳だった!? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                  政府の経済財政諮問会議で、民間議員が高齢者の定義を65歳から70歳にせよと主張したという話が駆け巡っています。大体みんな社会保障、年金関係の文脈で騒いでいるようですが、原資料を見ると、そういう風にならないように、わざと「社会保障の強靱化」の方ではなく、「女性活躍・子育て両立支援、全世代型リスキリング、予防・健康づくり」の方の、リスキリングの項目に書き込んでいたようですね。 誰もが活躍できるウェルビーイングの高い社会の実現に向けて① (女性活躍・子育て両立支援、全世代型リスキリング、予防・健康づくり) 〇全世代リスキリングの推進:高齢者の健康寿命が延びる中で、高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべき。その上で、いつでもチャレンジできるよう、DXや将来の人材ニーズを踏まえ、就業につながる教育・訓練の実施と、新たな給付等を活用した受講者の生活保障の充実を、利用状況を検証しつつ一体的に進める。その

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                                  • 今年1年間の『労働新聞』書評たち - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                    今年も最後の月になりました。この1年間、『労働新聞』に月1回連載してきた書評も12回分溜まりましたので、例によってまとめておきます。 グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』 『労働新聞』に月イチで連載している書評コラムですが、今年からまたタイトルが変わり、「書方箋 この本、効キマス」となりました。 その第1回目に私が取り上げたのは、グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』(明石書店 )です。 https://www.rodo.co.jp/column/143561/ 半世紀前の1975年に、日米欧三極委員会は『民主主義の統治能力』(サイマル出版会)という報告書を刊行した。ガバナビリティとは統治のしやすさ、裏返せばしにくさ(アンガバナビリティ)が問題だった。何しろ、企業の中では労働者たちがまるでいうことを聞かないし、企業の外からは環境や人権問題の市民運動家たちがこれでもかと責め立ててくる。

                                      今年1年間の『労働新聞』書評たち - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                    • ギリシャ「週6労働法」で“ブラック国家”化、「日本も他人ごとではない」理由

                                      この数年、日本で一般的な週5勤務よりさらに1日労働日数が少ない(=休日が多い)週4労働の試みが世界各地で実施されている。この動きは、生成AIはじめ、ITによる業務効率化の流れも相まって加速の様相だ。そんな中、「週6労働法」を導入したとして話題となっているのがギリシャだ。なぜギリシャは世界の労働トレンドに逆行し、日本流で言えば「ブラック企業支援」とも言われかねない法律を導入したのか。探ってみると、日本も他人ごととは言えない深刻な側面が見えてきた。 ギリシャ、週6労働法を施行、その中身とは? 世界各地で週4日労働制度の導入に向けた取り組みが増えつつある中、ギリシャではこれに逆行する法律が施行され、物議を醸している。 ギリシャ政府が2024年7月1日に施行した週6日労働を可能にする法律だ。主に24時間体制で運営される企業に適用され、従来の週40時間労働を最大48時間まで延長することを認めるもの。

                                        ギリシャ「週6労働法」で“ブラック国家”化、「日本も他人ごとではない」理由
                                      • リスキリングと賃上げと雇用システム@『労基旬報』1月5日号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                        まだ年末ですが、いろんな雑誌の新年号が既に出てきています。私が連載している『労基旬報』も1月5日号が届きました。最後のページに「リスキリングと賃上げと雇用システム」というエッセイを寄稿しております。冒頭「昨2023年」と言っているのは、これが2024年1月5日号だからです。 昨2023年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」は、「構造的賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進」を掲げ、「賃上げを一過性のものとせず、構造的賃上げとして確固たるものとするため、①リ・スキリングによる能力向上支援、②個々の企業の実態に応じた職務給の導入、③成長分野への労働移動の円滑化の三位一体の労働市場改革について、・・・変革期間において、早期かつ着実に実施する」と述べています。しかしながら、なぜこれらによって賃金が上がるのかという肝心の点については

                                          リスキリングと賃上げと雇用システム@『労基旬報』1月5日号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                        • リスキリングの二重の拗れ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                          朝日新聞に「「会社にいつ見限られるか」 追われるリスキリング、ただし米国では」という記事が載っているのですが、 「会社にいつ見限られるか」 追われるリスキリング、ただし米国では 「AI(人工知能)時代に打ち勝つためのリスキリング(学び直し)」「転職にも生かせるスキルを」。そんなかけ声の下、働きながら学ぶ人が目立つようになりました。でも、日本のリスキリング、先行する米国とは違う意味合いになっていませんか。読者イベントを通して考えました。(藤えりか) どう違う意味になっているのかというと、勅使川原真衣さんの言葉として、 「リスキリングは米国では、社員が別の業務をできるようになるため、会社として、業務時間中に新しいスキルを身につけてもらうものです。日本では、会社が提供せず、『価値ある労働者でいるためには頑張り続けないといけない』と個人に強いるものにすり替わっています。深夜や週末にみなさんが頑張っ

                                            リスキリングの二重の拗れ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                          • ジョブ型高学歴とメンバーシップ型高学歴 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                            まあ、「学歴の暴力」が高学歴かどうかなどというのは芸能ネタではないかといえばそうなのですが、でもそこには、社会的にジョブの序列が厳然と存在し、高級ジョブに就くためには高級スキルを付与すると社会的に考えられている高級の学歴、つまり学士などという低級ではなく修士などという中級でもない博士という高級の学歴が必要であるという社会的に構築された観念が強固に存在しているジョブ型社会と、そもそもジョブなどという観念がなく、ゆえにスキルという観念もなく、組織の高い地位に就くためには個々のジョブのスキルなどという下らぬものではなく、人間の総合的な「能力」が必要であり、それは博士なんぞにはなく、修士なんぞにも希薄で、ピンからキリまである学士の中の頂点に位置する高級大学出身者にこそあるという観念が社会的に強固に確立しているメンバーシップ型社会の常識とが、ものの見事に衝突しているのであることよ、と思わず嘆息が漏れ

                                              ジョブ型高学歴とメンバーシップ型高学歴 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                            • 労働組合は給与交渉代行サービスか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                              アウグストさんがコメント欄で言及しているようなやりとりがX(旧twitter)上であったようですが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2024/08/post-a4894b.html#comment-121553497 自分で辞めたいって言えない人向けの退職代行サービスが結構ニーズあるって話を聞くけど、給与交渉代行サービスってあるのかな?やったら流行りそうな。 世界はそれを「労組」と呼ぶんだぜ。 いくつか解きほぐすべきことどもがあります。 まず、前澤友作さんが想定しているであろう「給与交渉」というのは、おそらく上級ホワイトカラー層(いわゆるエグゼンプト)の、個人別に給与が決定されるような人々の成果給的な給与交渉のことであって、ホワイトカラーでもごく普通のクラーク層や、グレーカラー、ブルーカラーといった、典型的なジョブ型雇用で生きている人々

                                                労働組合は給与交渉代行サービスか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                              • 地方公務員は労働基準法第39条第7項が適用除外となっている理由 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                焦げすーもさんが、トリビアのように見えてなかなかディープな問題提起をしています。 おっちゃん「地方公務員の1/4くらいが年休5日/年取れてないという調査知っとるかい?」 ワイ「知らんけど、実感とズレるなあ。」 おっちゃん「地方公務員の大部分が労基署の調査対象外やけど、そもそも、年休取得が義務化されてない。」 ワイ「嘘やん、地方公務員法第58条第3項・・・ほんまや。」 地方公務員法第58条第3項(他の法律の適用除外等) “労働基準法第二条、(中略)第三十九条第六項から第八項まで、(中略) の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定は、職員に関して適用しない。” 改正労基法の年次有休休暇の取得義務の箇所がすっぽりと適用除外に。 どうしてこうなった。。 おっちゃんのこの問いは、なぜ地方公務員の労働基準が守られないかという根源的なものであった。 回答としては、 1.民間と比較して、監督機関が機能し

                                                  地方公務員は労働基準法第39条第7項が適用除外となっている理由 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                • 岩田龍子『学歴主義の発展構造』再読 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                  むかし学生時代に読んでいたはずですが、何しろ40年以上前なのですっかり中身を忘れていましたが、たまたま図書館の教育書の棚に並んでいたので再読したところ、思っていた以上に現在の私の考え方にそっくりなことを言っていることを発見し、いささかびっくりしています。 ・・・これにたいして、日本の社会においては、人々は潜在的可能性としての「能力」にたいしてよりつよい関心をしめす傾向がみられる。このように、日本の社会には、能力の一般的性格についての、あるぬきがたい信仰のようなものが存在しているために、すぐれた「能力」をもつ人、すなわち「できる人」はなにをやらせてもできるのであり、逆に「駄目な奴」はなにをやらせても駄目なのだと考えられやすい。・・・つまり、日本の社会では、適材適所とは、しばしば一般的能力のレヴェルにかんしていわれる場合が多く、本人の個性・関心・興味を中心にこれが主張されることはむしろ稀である

                                                    岩田龍子『学歴主義の発展構造』再読 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                  • 「リベサヨ」異聞 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                    雁林という人が、北村紗衣さんを「ポリコレリベサヨうんこ学者」とツイートした等により220万円の慰謝料を命じられたと報じられています。「うんこ学者」というのが誹謗中傷の類いに当ることは確かですが、「ポリコレ」とか「リベサヨ」というのは、思想的対立そのものの表現であることも確かでしょう。 それよりなにより、わたくしはもともと自分が創った気の利いた言葉のはずだった「リベサヨ」が、世の中を転々流通するうちに、原義とは全く違うただの左翼罵倒用語になって、こうして裁判ネタにまでなってしまったことを、若干の悲しみをたたえつつ、眺めるしかありません。 リベラルサヨクは福祉国家がお嫌い 一昨日のエントリーで紹介した後藤さんの本ですが、なかなか面白い記述があります。1960年代に左派からなされた福祉国家批判なんですが、例えば鈴木安蔵編『現代福祉国家論批判』にこういう叙述が見られるとして紹介しているんですが、福

                                                      「リベサヨ」異聞 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                    • 日本型年功制の源流はアメリカ型先任権だった!? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                      吉田誠さんが『立命館産業社会論集』に書かれた「戦後初期における先任権移植政策の展開と労使の対応」という論文は、とても面白い論点を提起しています。 https://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/60-1_3-15.pdf 本稿ではまずGHQや労働省が戦後占領期における先任権の日本への移植の奨励をどのように進めてきたのかを時系列的に明らかにする。当初,GHQは黒子役に徹し,米国に通じた学者や労働省を通して先任権を含む米国的な労働協約の奨励を進めてきた。しかし,1948年末に経済九原則が本国より命令として出されたことを受けて,人員整理による労使紛争を避けるためにGHQが直接的に先任権の導入を奨励・指導する立場に転じた。また経営者団体は,二つの枠組みで先任権を受けいれる姿勢を示した。一つは,消極的な解雇基準としてであり,ドッジ・ライン

                                                        日本型年功制の源流はアメリカ型先任権だった!? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                      • 正義の味方は自己責任@労災保険 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                        これはほんとに雑件です。 『労働経済判例速報』の令和6年1月30日号に「中央労働基準監督署長事件」(東京地判令和5年3月30日)が載っています。労災に関する裁判例ですが、事案が(労働法学的な意味ではなく、世間的な意味で)興味深いのでちょっと紹介。 本件の原告は、ファミレスに勤務する普通のサラリーマンなんですが、深夜帰宅途中、山手線車内で女性客に迷惑行為(要するに痴漢行為ですな)をしていた中年男に注意したところ、逆恨みしたそいつから跳び蹴りを受けて負傷したという事案です。もちろんそれはそれで刑事事件になるわけですが、警察が治療費を払ってくれるわけではない。問題はこの負傷が労災-正確には通勤災害-になるかです。通勤災害も労災と同様手厚い補償を受けられるのですが、その認定基準では、通勤とは関係のない逸脱や中断があると認められません。通勤の帰りに関係ないところに立ち寄ったりすると認定されないわけで

                                                          正義の味方は自己責任@労災保険 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                        • ローマ法学者 on 日本型雇用 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                          『法律時報』2月号には、ローマ法学者の木庭顕さんが「労働市場改革」というエッセイを寄せていますが、もちろんそんじょそこらにあるような生やさしい中身ではありません。 https://www.nippyo.co.jp/shop/magazines/latest/1.html ●論説 「労働市場改革」……木庭 顕 ローマ法のlocatio conductioの話がえんえんとなされて、多くの読者にはいささかちんぷんかんぷんではないかとも思われますが、それ以外も深い皮肉に満ちた文章が次々に繰り出され、人によっては木庭節に酔いしれるかも知れません。 たとえば、ローマ法の視角から見れば、こういう議論になります。 ・・・労働時間規制がかからない「正規」というabsurdな形姿が、雇用関係が一種の丸抱えになっていることから導かれる、ということに疑いはない。正規労働者は福利厚生からあのおぞましい大宴会付き温泉

                                                            ローマ法学者 on 日本型雇用 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                          • スウェーデンモデルが危ない! - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                            スウェーデンで大騒ぎになっているテスラのストライキですが、テスラ相手にストライキを打ってる最大労組IFメタルのニルソン会長がフィナンシャルタイムズに登場して、誉れあるスウェーデンモデルを守れ!と訴えています。 Union chief warns of Tesla threat to Sweden’s model Marie Nilsson, the head of the IF Metall union behind the strike against Tesla, told the Financial Times that the famed Swedish model — developed in the 1930s — was at the heart of the country’s prosperity, with employers and unions taking joi

                                                              スウェーデンモデルが危ない! - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                            • 熊沢誠さんの至言 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                              『POSSE』55号をお送りいただきました。 特集は「物流危機を救うのはAIと規制緩和か?」ですが、面白かったというか考えさせられたのは、熊沢誠さんのインタビュー記事でした。 ◆『イギリス炭鉱ストライキの群像』をめぐって──40年前の敗北の闘争がいま、私たちに教える経験とは 熊沢誠(甲南大学名誉教授) ここで熊沢さんがイギリスの労働組合運動をベースに語っていることは、日本人の労働者感覚と如何にかけ離れているのかをしみじみと感じさせます。 ・・・いまの日本のマスコミ用語では、「分断」が悪いという強烈な倫理コードがありますよね。私はこれはおかしいと思います。これはいわば闘争するなってことですよね。・・・ ・・・日本では階級・階層間の価値観の統合を要求される。典型的な例として、対照的に例えばイギリスでは、ブルーカラーは欠席や遅刻で賃金をカットしていたのを、日本的経営が入ってきて、「従業員は平等」

                                                                熊沢誠さんの至言 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                              • マージナル指向のなれの果て - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                河野有理さんのこの呟きに、若干違和感を覚えたのは、 「リベラル」は少数者の権利に関心があるから選挙で負けて当然なんだと言うのは負け惜しみ以前に危険な敗北主義ですね。「政治的多数」がさまざまな少数者の利益のcoalitionによって作為されること、そうした連合を作為することこそ政党と政治家の本業であることがどうも実感としてわかっていない。 日本におけるこの傾向は、むしろ左翼が迷走した挙げ句のマージナル指向のなれの果てなのではないかと感じるからです。 (参考) 「マージナル」とはちょっと違う 金子良事さんの http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-56.html(マージナルなものに目を向けることの強みと限界) >現代では、労働問題にせよ、社会福祉にせよ、いわゆる社会的弱者に対する問題関心からスタートしたことによる、思考の縛りがどこかしらにあるの

                                                                  マージナル指向のなれの果て - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                • 世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」@朝日新聞デジタル - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                  今朝の朝日新聞デジタルに、「世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」」というわたくしのインタビュー記事が載っています。インタビュワは岩田恵美記者です。 世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」 最近では兵庫県や自衛隊で問題になっているパワハラ。自治体、大学、企業……。パワハラにまつわるニュースが絶えません。日本は、世界と比べても問題が深刻なのでしょうか。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎労働政策研究所長に聞きました。 ――世界でも職場のハラスメントは問題になっているのでしょうか。 この20年ほどで、世界的に問題として捉えられるようになり、2019年に職場の暴力とハラスメントを禁じる条約が国際労働機関(ILO)で採択され、21年に発効しました。「ハラスメント」という言葉は一般に浸透していますが、国によって問題意識の背景が異なり、それぞれ独自の用語、

                                                                    世界のパワハラ 日本でしか聞かれない質問が象徴する「指導文化」@朝日新聞デジタル - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                  • 「ジョブ型社員の配置転換を進めやすくするための新たな制度」って・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                    日経新聞にはこれまでもいろいろと苦情を申し上げてきましたが、さすがにこれは・・・ ジョブ型導入にためらい 「配転違法」の最高裁判決響く 一方的な配置転換を「違法」とした4月の最高裁判決の思わぬ余波が出ている。大手小売業がパート社員をジョブ型の正社員に格上げする計画を凍結。労務を専門にする弁護士のもとには、労務対応に悩む企業から相談が相次ぐ。ジョブ型社員の配置転換を進めやすくするための新たな制度が必要だという指摘もある。 いやいや、配置転換したいわけでしょ、職務や配置が限定された硬直的なジョブ型じゃなくって、職務や配置が無限定でいくらでも会社の命令で動かせる柔軟性が欲しいわけでしょ。 硬直性が嫌で柔軟性が欲しいくせに、なんで硬直的だと百万遍繰り返して舌がすり切れそうになっているジョブ型を導入するとかいうんですかね。 悩んでいる企業にしても、この記事を書いている記者にしても、そもそもジョブ型を

                                                                      「ジョブ型社員の配置転換を進めやすくするための新たな制度」って・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                    • 規制改革推進会議で自爆営業に対する規制が議論 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                      昨日(11月15日)の規制改革推進会議の働き方・人への投資ワーキンググループで、いわゆる自爆営業の問題が取り上げられたようです。 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_03human/231115/human01_agenda.html 事務局の提出した資料には、全部で21の自爆営業の事例が載っています。 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_03human/231115/human02_05.pdf 近年(2020 年以降)発生及び報道された自爆営業の事案について、報道や有識者からヒアリン グした情報を元に、事務局が、自爆営業の態様や業態をもとに類型化し、整理した。 また、事務局が有識者(弁護士、社会保険労務士、労働法研究者等)か

                                                                        規制改革推進会議で自爆営業に対する規制が議論 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                      • 35-44歳層は何と呼ぶのか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                        先日の「高齢者の定義は・・・55歳だった!?」という記事に対して、 高齢者の定義は・・・55歳だった!? なんと日本国の実定法上、「高年齢者」というのは55歳以上の人のことをいうんですね。 これは、55歳定年が一般的であった1970年代に作られた規定が、そのまま半世紀にわたってそのまま維持され続けているために、こうなっているんですが、おそらく現代的な感覚からすれば違和感ありまくりでしょう。 ちなみに、同省令には続いて、 45歳になったら中高年という規定もあって、こちらはそうかなという気もしますが(若者だと思っている人もいるようですが)、でも45歳からたった10年で55歳になったら高齢者というのは可哀想すぎますね。 こういうブコメがつきましたが 44歳まではなんというのだろう。中高年でないなら青年? 実は、高年齢者雇用安定法と対になる法律として青少年雇用促進法というのがあるんですが、 青少年

                                                                          35-44歳層は何と呼ぶのか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                        • 海老原嗣生『少子化 女”性”たちの言葉なき主張』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                          海老原嗣生『少子化 女”性”たちの言葉なき主張』(プレジデント社)をお送りいただきました。 2022年に出生数が70万人台となり、さらにペースが加速している日本の少子化。 なぜ日本は“底なしの少子化”に陥ったのか? 「日本における最大の雇用問題は女性」と指摘する著者が、少子化問題を日本社会における女性のあり方の変遷から解説。これまで妊娠、出産、育児の負担を押し付けられ、時代の常識に翻弄されてきた女性たちの心の視点から“少子化の原因”をひも解く。 平塚らいてうvs与謝野晶子の「女権×母権」論争から、「働け、産め、育てろ」という三重苦を負わせた女性支援、婚活・妊活ブームの圧力、不妊治療の最前線まで、女性を結婚や出産から遠ざけてきた“正体”に迫る1冊。 いつもの海老原節が全開の女性論ですが、内容は11年前の『女子のキャリア』の延長線上です。ですので、大きな枠組みについては全く同感するところが多い

                                                                            海老原嗣生『少子化 女”性”たちの言葉なき主張』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                          • EUがAI規則を採択 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                            もう既に日本でも報道されていますが、昨日EUの閣僚理事会がAI規則案を正式に採択しました。 Artificial intelligence (AI) act: Council gives final green light to the first worldwide rules on AI これについては、規則案提案の際に労働関係に重点を置いてごく簡単に紹介したことがあります。 JILPTリサーチアイ 第60回 EUの新AI規則案と雇用労働問題 去る4月21日、EUの行政府たる欧州委員会は新たな立法提案として「人工知能に関する規則案」(COM(2021)206)[注1]を提案した。同提案は早速世界中で大反響を巻き起こしているが、本稿では必ずしも日本のマスコミ報道で焦点が当てられていない雇用労働関係の問題について紹介し、政労使の関係者に注意を促したい。・・・・ ヨーロッパで検討進むAI規制

                                                                              EUがAI規則を採択 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                            • ジョブ型ブームの中でちらつく日本型雇用の欠陥@『月刊公明』2023年12月号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                              『月刊公明』2023年12月号に「ジョブ型ブームの中でちらつく日本型雇用の欠陥」を寄稿しました。 https://komeiss.jp/products/detail.php?product_id=383 ジョブ型がまた流行している もう2年前になるが、2021年に『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)という本を出した。2020年ごろからメディアでジョブ型という言葉が頻出するようになったが、その意味がきちんと理解されていないと感じたからだ。その結果、ジョブ型=成果主義といった誤解はかなり影を潜めたが、ジョブ型=職務給といったやや狭い理解が広がった。とりわけ、岸田政権下で進められる新しい資本主義の中では、「メンバーシップに基づく年功的な職能給の仕組みを、・・・ジョブ型の職務給中心の日本にあったシステムに見直す」と、職務給を唱道している。 実は日本近代史において、職務給は繰り返し流行してきた

                                                                                ジョブ型ブームの中でちらつく日本型雇用の欠陥@『月刊公明』2023年12月号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                              • 大卒が高卒ジョブに就くという話 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                                ビジネスインサイダーに、「アメリカでは、大卒者の半数近くが飲食サービスや小売業といった「高卒レベルの仕事」に就いている —— 最新報告」という翻訳記事が載っていて、たぶん途中までは日本の読者もそれほど違和感を感じずに読んでいくのだろうと思うのですが、そこはやはりジョブ型社会のアメリカの話なので、こういう当たりで「あれ?」と感じるはずです。 アメリカでは、大卒者の半数近くが飲食サービスや小売業といった「高卒レベルの仕事」に就いている —— 最新報告 2つの調査会社が共同でまとめた最新報告書によると、アメリカでは大学で最近学位を取得した人の約52%が卒業後1年以内に大卒資格を必要としない仕事に就いているという。・・・ では、大学卒業後に高卒レベルの仕事に就いた新卒者は5年後にどうしているかというと、一般事務(109万人)や販売監督(100万人)、小売販売員(75万9000人)、営業(61万10

                                                                                  大卒が高卒ジョブに就くという話 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                                • 公共性を持つヨーロッパの労働組合 日本の労働組合とどこが違うのか@『情報労連リポート』4月号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                                  『情報労連リポート』4月号が「歴史と運動から学ぶ 労働組合はなぜ必要なのか」という特集を組んでいて、そこにわたくしも「公共性を持つヨーロッパの労働組合 日本の労働組合とどこが違うのか」という小文を寄稿しています。 http://ictj-report.joho.or.jp/2404/ http://ictj-report.joho.or.jp/2404/sp02.html 労働組合の存在意義とは何か。それぞれの社会において異なる。欧米の労働組合と日本の労働組合の位置付けはどう異なるのだろうか。ヨーロッパにとっての労働組合の性格を主に解説してもらいながら、日本と比較してもらった。 アングロサクソンの労働組合 労働組合とは社会にとっていかなる存在なのかというのは、国によって異なります。大きく分けて、英米のようなアングロサクソン諸国、独仏のような大陸ヨーロッパ諸国、そして日本では、労働組合の位置

                                                                                    公共性を持つヨーロッパの労働組合 日本の労働組合とどこが違うのか@『情報労連リポート』4月号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)