新型コロナウイルスの急激な感染拡大が続く中、東京都医師会の尾崎治夫会長(69)が本紙のインタビューに応じた。「医師会として病院、診療所が一丸となり、コロナ診療に全力であたっている」とした上で、政府のコロナ対策や国会での与野党の議論を「もっとやることがあるはずだ」と指摘。東京五輪が感染増に影響したとの見方を示し、24日に開幕するパラリンピックについては「このような感染状況では無理だと思う」と開催に疑問を呈した。(聞き手・松尾博史)
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尾崎治夫(おざき・はるお)/1951年、東京都生まれ。順天堂大学卒、医学博士。東京都医師会副会長を経て、2015年から会長に。東京都東久留米市で「おざき内科循環器科クリニック」を開業(撮影/写真部・小黒冴夏)この記事の写真をすべて見る AERA 2020年8月24日号より 「大都市は感染の火だるまだ」。そう警鐘を鳴らす、東京都医師会の尾崎治夫会長。先月末には会見で、「良識のある国会議員のみなさん、コロナに夏休みはない。国会をひらき、国がすべきことを国民に示してほしい」と早急な対応を訴えた。AERA 2020年8月24日号では、その尾崎会長が本誌の単独インタビューに応じた。都民や国民の命を守るために、国会議員に強く呼びかけたこととは――。 【尾崎治夫会長が訴える「今すぐ必要」な三つの対策はコチラ】 * * * ──新型コロナウイルスの感染拡大が7月以降、止まりません。東京は連日200人を
6月以降に感染が広がった新型コロナウイルス「第2波」のピークは越えたとされるが、今冬には、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念される。どう備えるべきか。来週にも発足する次期政権に求められることは―。東京都医師会の尾崎治夫会長(68)は本紙の取材に対し、新型コロナ対策の特別措置法の改正や、PCR検査の拡充を急ぐべきだと訴える。(藤川大樹、松尾博史) 尾崎氏は、都医師会としての今冬への備えを、2点挙げた。まずは、診察に来た患者を、新型コロナとインフルエンザ、そのほかの病気に速やかに振り分ける体制づくり。都医師会は、PCR検査が受けられる医療機関を1400カ所まで増やす方針を打ち出し、ほぼ目標に達しているという。
緊急事態宣言の解除から2カ月近く、やっと日常を取り戻した。そう思っていたら再びウイルスが忍び寄ってきた。東京都内の新型コロナウイルスの新たな感染者が12日には4日連続で200人を超え、このまま感染者が増え続けたら、医療体制はどうなるのかと不安も募る。東京都政にも太いパイプを持つキーマンの一人、東京都医師会の尾崎治夫会長(68)を直撃した。 東京都千代田区の都医師会館。7階の会長室を訪れるのはおよそ2週間ぶりだ。テレビでおなじみのちょびひげはマスクで隠れていた。傍らには犬型ロボット「aibo(アイボ)」が控えている。アイボは尾崎さんがフェイスブックに投稿する際のよき相棒だ。<東京都医師会長から都民の方にお願い>と題し、アイボが撮影した写真を添えて投稿したのは3月26日のこと。<アイボが撮った写真です。……こうした平和が、あと2、3週…
―― 緊急事態宣言の解除後、たちまち第四波に突入し、再び緊急事態宣言が発出されました。現在(5月7日)の状況をどう見ていますか。 東京都医師会会長・尾﨑治夫氏(以下、尾崎) 緊急事態宣言の解除後、東京の新規感染者は週平均700名、入院患者は2000名程度に増えました。このペースが続くと、やがて感染者が指数関数的に上昇し、医療体制が逼迫します。これは第三波の経験から分かっていたことです。 そのため、政府は東京都医師会や小池都知事の要請に沿って、ゴールデンウィークの前に緊急事態宣言を出しました。過去2回の宣言はピークを過ぎてから出されていましたが、今回はピークを迎える一歩前で出されました。タイミングが良かったのです。 その効果は数字に表れています。5月6日の東京都モニタリング会議の資料によれば、5月5日時点で居住地から5キロ圏内、3キロ圏内の移動で生活した都民の割合はそれぞれ70%、60%です
「東京都医師会長から都民の方にお願い」――。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、こんなタイトルで、尾崎治夫会長がフェイスブックに投稿した呼びかけが反響を呼んでいる。 そこでは、差し迫った危機を訴え、拡大防止への協力を求めている。尾崎会長に現在の状況について話を聞いた。 ■「ここ数日の東京都の感染者の増加は尋常ではありません」 「都内の繁華街やお花見の様子を見ますと、人混みから感染が広がって、家にいる高齢者にも移る流れになる恐れがあります。そのことを感じてもらおうと、今回、フェイスブックに出すことにしました」 都医師会の尾崎会長は2020年3月27日、J-CASTニュースの取材にこう明かした。 フェイスブックでは、会長室にあるというペットロボットに撮影してもらった自らの微笑み写真を26日にアップして、こう切り出した。 「...平和ですね。でもこうした平和が、あと2、3週間で崩壊するかもし
医療も経済も中途半端 強い感染力を持つ変異株「デルタ株」が広がり、新型コロナウイルスの脅威はいや増すばかりである。全国の累計感染者数が150万人を突破し、8月以降は特に東京都内で新規感染者が急増、コロナ対策の「次の一手」も見えてこない。政府を相手に物申してきた東京都医師会のトップを直撃した。 「前回特集ワイドのインタビューがあった昨年7月ごろから、政府が今のような事態になることを想定して動いていれば、こんなことにはなっていないよ。本来、最悪の事態を想定した上で対策を練るのが政府の仕事。なのに、自分たちがやりたい政策に合致した都合の良い予測だけを拾ってやってきたとしか思えない。それが今回の事態を招いたんだよ」 開口一番、東京都医師会会長の尾崎治夫さん(69)は強い口調でそう話した。ちょびひげがトレードマークの尾崎さんは、昨年のコロナ感染拡大当初からテレビなどのメディアに登場するようになった。
東京都医師会の尾崎治夫会長は12日の定例会見で、新型コロナウイルスの現在の都内の1日当たりの感染者数について、2万人超だった第8波(昨年末~今年初め)のピークに迫る勢いの「1万5000人規模と想定される」と述べ、「コロナとの戦いはまだまだ続く。5類だからもう考えなくてもいいのではなく、予防も含め、改めてコロナにどう立ち向かうか考えていただきたい」と感染予防の取り組みを呼びかけた。 7日に都が公表した新型コロナの定点医療機関当たりの患者報告数は、感染症法上の5類移行後最多となる17.01人だった。また、都は7日にオミクロン株の系統の新たな変異株「BA.2 .86」が国内で初めて確認したと発表している。「BA.2 .86」は、これまで海外で42件確認されているが、感染力などは分かっていない。尾崎会長は「冬の感染の主流になる可能性がある。動向を見ていきたい」と述べた。 一方、東京消防庁の資料によ
日本政府が「勝負の3週間」と位置づけ、短期集中でコロナ対策に取り組んだものの、感染者は増加し続けている。日本は何をすべきなのか、何が足りていないのか? ジャーナリスト・田原総一朗氏と、「真剣勝負の3週間」を訴えた東京都医師会会長・尾崎治夫氏が、日本の状況や求められるコロナ対策について縦横に語り合った(「崎」の正式表記は「たつさき」)。 (構成:本郷明美/写真:山本華) 菅政権のコロナ対策 田原 以前お目にかかったとき、尾崎さんは「安倍政権の新型コロナ対策はまったくなっていない」とおっしゃっていた。菅政権になってからはいかがですか? 尾崎 菅政権になっても、基本的に目新しい対策は出ていません。ただし、自民党としては、7月に発足した感染症対策ガバナンス小委員会の提言が、9月に党の政策方針になったと聞いています。 田原 武見敬三さんが中心となって取りまとめた提言ですね。政策方針になったんですか?
2億円のカネを政治家にばら撒き… コロナの第1波から1年半。逼迫する医療体制に、日本医師会の姿勢を問う声も少なくない。そもそも、なぜ政府は号令をかけ、コロナ患者の受け入れを拡充させることができないのか。背景には“日医のドン”こと東京都医師会長の尾崎治夫氏(69)と国会議員との間での“ズブズブな関係”がある。 *** 【写真3枚】“日医のドン”と呼ばれる尾崎会長 昨年おこなわれた日医の会長選挙で、中川俊男会長を担いだのが尾崎氏だった。医療業界関係者は「力関係は尾崎さんの方が上。実質的な会長というか、“ドン”として君臨しています」と氏を評する。そんな尾崎氏と政治家との密着ぶりを示すのが、東京都医師政治連盟の政治資金収支報告書だ。同連盟の代表者は尾崎会長である。 2017年から19年までの直近3年間の報告書をみると、パーティー券だけでも3年間で約50名の議員に約千万円、寄附の名目では約35の政治
「勝負の3週間」に敗北した日本は、いまどう動くべきなのか? 「Go Toキャンペーン」とは何だったのか? ジャーナリスト・田原総一朗氏と東京都医師会会長・尾崎治夫氏の特別対談(「崎」の正式表記は「たつさき」)。 (構成:本郷明美/写真:山本華) 専門家会議を廃止し分科会へ 田原 6月24日に、西村大臣が専門家会議を廃止して分科会にすると発表しました。あのとき、専門家会議の委員から「相談なしに勝手だ」という話があった。なんであんなことをしたんだろう? 尾崎 私にもわかりませんが、専門家会議のときには、安倍首相(当時)と一緒に尾身さんが出たり、立場上いろんな意見を並列でおっしゃっていました。おそらくそれでは都合の悪い面が出てきたので、一つ下の分科会にしようということにしたのではないかと……。 田原 ランクを落としたの? でも座長は同じ尾身さんですね。 尾崎 ランクというか、分科会になり、組織的
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