新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が各地の航空会社を直撃している。旅客の激減で収入が見込めず、手元資金が枯渇。政府や金融機関による経営支援の動きが本格化しているが、破綻に追い込まれた会社も。国境をまたぐ人の移動が大きく制限されるかつてない危機をどう乗り切るか。世界の航空産業は生き残りをかけた対応を迫られている。 この状態1年続けば業界全体の減収が2兆円に達する恐れ 「こんなにすいている空港は初めてだ」。東京の空の玄関口、羽田空港。4月中旬、大阪に向かう会社員(53)は不安げに話した。 コロナショックで航空業界の景色は一変した。右肩上がりを続けてきた訪日客数は減少し、政府が渡航中止を勧告する「レベル3」の対象は計87カ国・地域にまで拡大。各社は国際線9割、国内線6割超の減便を強いられている。 「過去に例のない未曽有の危機だ」。定期航空協会の平子裕志会長(全日本空輸=ANA=社長)は3月下旬