ベンジャミン・ホー(Benjamin Ho)の『Why Trust Matters:An economist’s guide to the ties that bind us』 (『信頼が大事なワケ:ヒトとヒトをつなぐ「信頼」の謎を解く』)は、「信頼/ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の経済学」が手際よく概観されている一冊だ。私がとりわけ強く印象を受けたのは、「信頼」と「我慢強さ」とのつながりに関する指摘だ。ホー曰く、「関係当事者が将来に高い価値を置く(将来得られる利得を重んじる)ほど――言い換えると、我慢強いほど――、(お互いが信頼し合う)協調的な関係が保たれやすくなる」。わかりきっているはずなのに、どういうわけかこれまですっかり見過ごしてしまっていたつながりだ。契約書の強靭さは、ゴルディロックスが出した小さなお皿のお粥の温度と同じくらい(ほどほど)が望ましいという指摘もお気に入りだ。