宇宙の最も基本的な力の1つである「重力相互作用」には「重力子」と呼ばれる素粒子を媒介することで伝わるという説がありますが、今のところ重力子は未発見です。このため、重力子が量子力学の世界でどのような振る舞いをするのかは、理論的にしか分かっていません。 南京大学のJiehui Liang氏などの研究チームは、「分数量子ホール液体」と呼ばれる非常に特殊な状態に置かれた電子の中に、「カイラル重力子モード(CGM; Chiral Graviton Mode)」と呼ばれる振る舞いを示すものがあることを初めて実験的に観察することに成功しました。カイラル重力子モードは重力子そのものとは全くの別物であるものの、一部の性質が共通しているという特徴があります。 カイラル重力子モードは「分数量子ホール液体」に関わる研究で目標とされていた合成物の1つであり、重力子の性質を部分的にでも探ることができる手掛かりとなるか