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himaginaryの検索結果361 - 400 件 / 3907件

  • アンディ・グローブの産業政策論 - himaginary’s diary

    元インテルCEOのアンドリュー・グローブが「手遅れになる前にいかに米国の雇用を創出するか(How to Make an American Job Before It's Too Late)」という論説をブルームバーグに書いている(ビジネスウィークでの掲載はこちら[こちらはグラフ付き]。日本のブログではたとえばこちらに簡単な紹介がある)。 概略は以下の通り。 米国人はスタートアップ企業に過大な期待を掛けているが、スタートアップ自体はそれほど雇用に貢献するわけではない。問題なのはスタートアップがプロトタイプから大量生産に移行する(=スケールアップする)魔の瞬間*1。今やそのスケールアップのプロセスは米国内では起きていない。 インテルを創業した頃は、そうしたスケールアップは米国内で起きていた。他にもタンデム、サン、シスコ、ネットスケープなども同様。しかし、労働コストの安い中国に目を付けた経営陣が

      アンディ・グローブの産業政策論 - himaginary’s diary
    • 成長の奇跡の時代は終わった - himaginary’s diary

      ということはかねてからダニ・ロドリックが述べていることだが(cf. ここ)、タイラー・コーエンが15日付けのブルームバーグ論説で概ね同様のことを述べている(H/T Economist's View、Marginal Revolution)。そこでコーエンは、世界で最も富裕な国であるデンマークでは成長率の爆発的な加速がついぞみられなかったこと、19世紀の米国の成長率も2%を下回るのが常であったことを指摘し、以下のように書いている。 Slow growth doesn’t mean that the U.S. or Denmark were failures in the 19th century. It’s hard for economies at or near the technological frontier to rapidly improve living standards,

        成長の奇跡の時代は終わった - himaginary’s diary
      • フラッシュ・クラッシュは仕掛けられたのか? - himaginary’s diary

        Nanexという株価(ならびにオプション・先物価格)データフィードのベンダーが、自社に蓄積されたデータを生かして、5月6日に発生した米国株急落(瞬時急落=フラッシュ・クラッシュと称される*1)の分析を行っている(Marginal Revolution経由)。 分析の概要は以下の通り。 14:42:56に、NYSE(ニューヨーク証券取引所)の約100銘柄の買い気配が、全国の9つの取引所を通じた最良売り気配(National Best Ask)を上回り始めた。2分後には、そうした銘柄の数は250以上に達した。データを見てみると、これは、NYSEの気配の処理が他市場に比べて遅れたためであったことが判明した。即ち、他市場の売り気配の低下に、NYSEの買い気配の低下が追随できていなかった。それにも関わらず、NYSEの気配に打刻された時刻(タイムスタンプ)は最新のものになっていた。 NYSEの買い気配

          フラッシュ・クラッシュは仕掛けられたのか? - himaginary’s diary
        • バーナンキ「5年前に俺の政策貶したショイブレさん息してる?」 - himaginaryの日記

          思い切り2ch風のタイトルにしてしまったが、バーナンキが「いかにFRBが経済を救ったか(How the Fed saved the economy)」という10/4付けWSJ論説記事で以下のように書いている(H/T Mostly Economics)。 It is instructive to compare recent U.S. economic performance with that of Europe, a major industrialized economy of similar size. There are many differences between the U.S. and Europe, but a critical one is that Europe’s economic orthodoxy has until recently largely bloc

            バーナンキ「5年前に俺の政策貶したショイブレさん息してる?」 - himaginaryの日記
          • ケインズとリフレ政策 - himaginary’s diary

            田中秀臣氏の22日のエントリで、一般理論における“ケインズ自身の「流動性の罠」からの脱出法”として以下の3つが挙げられていた。 1)貨幣供給量の増加(名目貨幣量の弾力的な膨張政策) 2)資本の限界効率表の上方シフト(産業政策とか期待のシフトとか) 3)清算主義(デフレ政策による実質貨幣量の膨張ないし賃金単位の切り下げ) 以前、日本経済の「流動性の罠」模式図というエントリを上げたことがあったが、そこで描いた模式図で分類すれば、 1)と3) [D]の高止まっている実質金利の低下を狙う「リフレ政策」 2) [E]の自然利子率を高めることを狙う「構造改革」 ということになろう。 田中氏は、 (ケインズは) 3)は別な個所でダメである、と考えていて、1)を肯定している と書いている。その3)が駄目な理由は、間宮訳注によると「本文の326-328ページ(イ)(ロ)(ハ)で論じられた」とのことだ。手元に

              ケインズとリフレ政策 - himaginary’s diary
            • 『将来世代はグレタ・トゥーンベリを許さない? - himaginary’s diary』へのコメント

              ブックマークしました ここにツイート内容が記載されます https://b.hatena.ne.jp/URLはspanで囲んでください Twitterで共有

                『将来世代はグレタ・トゥーンベリを許さない? - himaginary’s diary』へのコメント
              • 極端な通常としての日本 - himaginary’s diary

                ジェームズ・ハミルトンが政府債務を巡ってクルーグマンらと論争を繰り広げている。 論争の焦点になっているのは、ハミルトンがミシュキンらとの共著論文*1で示した以下の回帰式である*2。 この式を基にハミルトンは、政府債務の対GDP比率が高くなると金利が上昇し、やがて下図のように手に負えなくなる、と警告した。 それに対するクルーグマン(+ここ)、The AtlanticのMatthew O'Brien、デロング、Tim Duyの反論は、概ね以下の2点に集約される: 日本を単なる特別ケースとして扱って良いのか? (上の回帰式ではαiは国ごとの固定効果を扱っており、日本は非常に大きなマイナスの値となっている) 自国通貨を持たないユーロ圏の国がサンプルの多くを占めるとはこれ如何に? クルーグマンは論文のデータを用いた以下の散布図を示して、そうした論点を視覚的に表わしている。 またTim Duyは、日本

                  極端な通常としての日本 - himaginary’s diary
                • 経済学基本原理誇張主義 - himaginary’s diary

                  ノアピニオン氏が、経済学入門で習うような基本原理の正しさを過大に評価する傾向を「101ism」と呼んだ*1。それを受けてクルーグマンが、「101 Boosterism」というブログエントリを書いている。そこで彼は、仮に経済学基本原理が正しいとしても、それが重要であるとは限らない、という点を指摘している。その例としてクルーグマンは、自分のホームグラウンドである国際貿易の分野から、かつてサミュエルソンが明白ではないが真実である経済学の洞察の好例、と称した比較優位を挙げている。 Now, there are a variety of reasons why, despite this big insight, free trade may not be the right policy – that’s Noah’s 101ism. But I want to make a different

                    経済学基本原理誇張主義 - himaginary’s diary
                  • クルーグマン関係まとめサイトと個人的雑感 - Baatarismの溜息通信

                    最近、アメリカの経済系ブログでは、ポール・クルーグマンの発言を巡って議論が白熱しているようで、日本の経済系ブログでもそれが取り上げられています。 僕もそれらの記事を追っかけてきたのですが、そろそろこんがらがってきたので、整理のためにリンクをまとめてみました。 himaginaryの日記 クルーグマンへの公開書簡 - himaginaryの日記 クルーグマンへの公開書簡・続き - himaginaryの日記 I 慣性という名の惰性 I 黒ヤギさんたら、読まずにt(ry - I 慣性という名の惰性 I しかーたがないのでお手紙書いt(ry - I 慣性という名の惰性 I サムナー氏による「さっきの手紙のご用事」の解説 - I 慣性という名の惰性 I クルーグマンの結論 - I 慣性という名の惰性 I pal-9999の日記 クルーグマンの心変わり? - pal-9999の日記 本石町日記 「フ

                      クルーグマン関係まとめサイトと個人的雑感 - Baatarismの溜息通信
                    • 非政治化された数学のせいで経済学は駄目になった - himaginary’s diary

                      というブログ記事をヘリオットワット大学のファイナンス数理学者ティム・ジョンソン(Tim Johnson)が自ブログ「Magic, maths and money/The relationship between science and finance」に書き、Economist's Viewでリンクされたほか、Gavin Kennedyが紹介している(原題は「How economics suffers from de-politicised mathematics」。ちなみにKennedyの紹介記事のタイトルは「Mathematical Truths Do Not Make Untrue Assumptions in Economics True」)。 そのエントリでジョンソンは、ゲーデルの不完全性定理によるヒルベルト・プログラムの挫折と、その後のニコラ・ブルバキ(実体はフランスの数学者グ

                        非政治化された数学のせいで経済学は駄目になった - himaginary’s diary
                      • インフレ目標と危機への対処に関する実証分析 - himaginary’s diary

                        というIMF論文が2/1に出ている(Mostly Economics経由)。正確なタイトルは「Inflation Targeting and the Crisis: An Empirical Assessment」で、著者はIrineu de Carvalho Filho。 以下はMostly Economicsの紹介の拙訳。 IMFのIrineu de Carvalho Filhoが、インフレ目標採用経済と非インフレ目標採用経済の危機におけるパフォーマンスの差を評価している。 この論文は、インフレ目標採用国が今回の危機をどう乗り切ったかを評価している。論文の目的は、将来の研究の手引きおよび動機付けとなるような定型化された事実の確立にある。 我々は、2008年8月以降、インフレ目標採用国がそれ以外の国に比べて名目政策金利をより低め、この緩和政策が、実質金利においてさらなる大きな差をもたらし

                          インフレ目標と危機への対処に関する実証分析 - himaginary’s diary
                        • PERを見る時の注意点 - himaginary’s diary

                          柏野雄太氏が@ITで齊藤誠氏の近著「競争の作法 いかに働き、投資するか (ちくま新書)」を取り上げている(柏野氏のブログwrong, rogue and booklogの8/23エントリ経由)。そこで柏野氏は、同書の主張を以下のように紹介している。 さて、その「競争の作法」においては、2001年1月から2007年10月まで続いた戦後最長の「いざなみ景気」(1960年代後半の、いざなぎ景気になぞらえて付けられた名称)について、日本企業の製品やサービスが消費者に評価されているという実質がない、見せかけの景気に過ぎなかったとしています。 その根拠として、ひとつは(a)株価の収益比率(PER)が高くとどまったまま企業収益以上の値をつけていたということ、もう1つは(b)いざなみ景気の後半3年間は実質実効為替レートが低かったので、その分普通の円安よりもさらに円安となり、日本の輸出産業の価格競争力が高ま

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                          • 経済の進歩の測定 - himaginary’s diary

                            Enlightenment Economicsなる会社を率い、最近下記の本を出した英国のフリーランスの経済学者Diane Coyleが、先月「Measuring economic progress」と題した記事をvoxeuに寄稿し、GDPやその代替指標について論じている(H/T Mostly Economics)。 GDP: A Brief but Affectionate History 作者: Diane Coyle出版社/メーカー: Princeton University Press発売日: 2014/02/23メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る そこでは、GDPの「生い立ち」について以下のように書かれている。 One of the key questions debated in the 1930s concerned the aim of a si

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                            • 財政金融の新時代 - himaginary’s diary

                              「A Remarkable Financial Moment」と題したブログエントリでサマーズが、低下を続ける各国の長期金利を前に市場は長期停滞のリスクを認識したようだが、政策当局者の認識が遅れている、と書いている。(H/T Economist's View。cf. FTとWaPoへの転載)。 ...policymakers still have not made sufficiently radical adjustments in their worldview to reflect this new reality of a world where generating adequate nominal GDP growth is likely to be the primary macroeconomic policy challenge for the next decade.

                                財政金融の新時代 - himaginary’s diary
                              • 米国の宇宙計画を巡るなかなか消えない10の神話 - himaginary’s diary

                                という記事をスミソニアン誌が掲載している(原題は「Ten Enduring Myths About the U.S. Space Program」;The Big Picture経由)。以下はその概要。 月着陸競争の際、米国の宇宙計画は幅広い熱狂的な支持を受けた 世論調査によれば、1960年代を通じて、米国人の45-60%は政府が宇宙探査に金を費やし過ぎていると考えていた。ニール・アームストロングの着陸の後でさえ、その歴史的偉業が費用に見合ったと考えていたのは53%に過ぎなかった。 宇宙開発競争は冷戦を背景にしていたが、その危機感が薄れるに連れ、アポロ計画への支持も薄れた。 SETI協会はNASAの一部門である SETI協会は民間の非営利組織。 NASAも異星人探査の計画に参加していた時期は数十年前にはあった。1997年には、エイムズ研究所がジェット推進研究所と共同で異星人の信号を探索する

                                  米国の宇宙計画を巡るなかなか消えない10の神話 - himaginary’s diary
                                • 600年の時を超えた憎悪 - himaginary’s diary

                                  「憎悪の地理学:戦間期のドイツの反ユダヤ主義は中世のユダヤ人大量虐殺に如何に影響されたか」と題された記事がvoxeuに掲載されていた(原題は「The geography of hate: How anti-Semitism in interwar Germany was influenced by the medieval mass murder of Jews」)。 その記事の内容は以下の表に集約される。 1349年の ユダヤ人迫害 1920年代の ユダヤ人迫害 なし あり 合計 なし 78 (98.7%) 196 (91.6%) 274 (93.5%) あり 1 (1.3%) 18 (8.4%) 19 (6.5%) 合計 79 214 293 即ち、1920年代にユダヤ人への迫害が行われた19の町のうち、18は14世紀にユダヤ人への迫害(黒死病の原因との疑いを掛けて虐殺)が記録された町

                                    600年の時を超えた憎悪 - himaginary’s diary
                                  • マンキュー:ケインズならどうしていただろうか? - P.E.S.

                                    マンキューのニューヨークタイムズへの寄稿です。彼のブログで書いてた連銀によるターゲットとかも含めて、まあ色々語っていてはいますが、結局なにか内容のあるものじゃないです。まあ、クルーグマン等、財政支出増へ向けて勢いづく左派へ、右派から嫌味の一つも言ってやりたい、あっ、でも俺って結構穏健ないい人のイメージで売ってるからニューヨークタイムズであんまり露骨な事も書けないし、だからまあ抑えた思慮深い感じでいってみるか、みたいな文章です。 ケインズならどうしていただろうか?  グレゴリー・マンキュー 2008年11月28日 経済が直面する問題を理解する為にすべての経済学者の中から一人だけ選べということになるなら、まず間違いなくその経済学者はジョン・メイナード・ケインズになるでしょう。ケインズは50年以上も前に亡くなっていますが、不況と恐慌に関する彼の診断は現在のマクロ経済学の基礎となっています。彼の洞

                                      マンキュー:ケインズならどうしていただろうか? - P.E.S.
                                    • 預金金利引き上げと銀行の行動 - himaginary’s diary

                                      米金融問題に気を取られている隙に、日本のブログ界隈では、民主党の枝野議員の発言が思ったより大きな波紋を広げていることを稲葉氏のブログエントリで知った(なお、稲葉氏には弊ブログを氏のはてなアンテナに加えていただいた。ありがたやありがたや)。枝野氏の発言とは、「朝まで生テレビ」におけるもので、貸出金利を抑えたまま預金金利を上げるべき、という主旨とのこと。 どうやらmojimoji氏が枝野議員の擁護に動いたことで話が盛り上がっているようだ。そのエントリを読んで、脊髄反射で以下のブコメを付けた。 預貸金利差で稼げなくなった銀行は、預貯金ビジネスから手を引き、より収益の高いビジネスに傾斜していくでしょう。…あれ?それって今金融危機で苦しんでいるどこかの国で既に起きたことのような…。 http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/

                                        預金金利引き上げと銀行の行動 - himaginary’s diary
                                      • 国際化すれば日本経済も回復する - himaginary’s diary

                                        と浜田宏一氏が学士会会報の最新号に書いている。 以下、該当箇所の引用。 トービン教授は、人々の資産選択活動を分析してマクロ経済学と結び付けた大きな業績があり、1981年のノーベル経済学賞を受賞しています。日本経済は、今デフレと円高にさいなまれ、先進諸国の中でもテール・エンドを歩んでいます。資産選択理論を応用すれば、このような状態は、日本銀行が発行できる資産であるマネーサプライを「上手に」増やしてやれば解決できます。これが世界に通用する経済学の常識です。 これに対して、日本の経済学者、エコノミスト、それにマスコミは日本銀行の宣伝にも影響されてか、「金融政策はデフレ解消、円高防止、不況脱却に効かない」という日本独自の俗説に凝り固まってきました。したがって、日本の経済学者、そしてメディアが真に国際化すれば、日本経済も回復しうるはずです。(現に2012年2月14日の日本銀行のインフレ・ゴールの宣言

                                          国際化すれば日本経済も回復する - himaginary’s diary
                                        • なぜニューヨークは米国最大の都市なのか? - himaginary’s diary

                                          と題した論文を2005年12月のNY連銀のEconomic Policy ReviewにEdward Glaeserが書いている(Mostly Economics経由;原題は「Urban Colossus: Why Is New York America’s Largest City?」)。 その結論部では、200年間も全米第一の都市であり続けたニューヨークの経済史から、4つの教訓を引き出している。 地理的決定論 ニューヨークについては、最大の港湾を持っていたことが発展を運命付けた。その点では地理的決定論にも一理ある。 輸送コストの重要性 ニューヨークの港湾都市としての発展には輸送コストの問題が寄与した。移民受け入れの中心地および製糖業の中心地となったことについても同様。 地域特化の経済 輸送コストの低下によってそれに基づく集積効果が衰えた後も、関連産業同士が近くに位置することの有利さに基

                                            なぜニューヨークは米国最大の都市なのか? - himaginary’s diary
                                          • クリストファー・シムズのリフレ理論 - himaginary’s diary

                                            VARを推奨する計量経済学者として有名なクリストファー・シムズ(プリンストンのHP)が、ゼロ金利制約下における金融・財政政策について小論を書いた。 Economist's Viewで全文が紹介されているほか、サムナーも自分と意見を同じくするものとして取り上げている。 以下はその第1節の前半と第5節の後半の拙訳。 I.ゼロ金利下限を扱った通常のニューケインジアンモデルが強く意味するところ 金融政策は、少なくとも2008年秋に至る数十年間の間は、金利政策と考えられてきた。ニューケインジアンの政策モデルは間違いなくそのように扱ってきた。ゼロ金利下限(zero lower bound=ZLB)では、政策当局者がさらに緩和的な姿勢を取ろうとする限り、金利は動かなくなる。表面上は、これは金融政策が麻痺状態にあることを意味するように見える。しかし、本書に収録されているようなニューケインジアンモデルでは、

                                              クリストファー・シムズのリフレ理論 - himaginary’s diary
                                            • 新制度学派経済学への招待 - himaginary’s diary

                                              UDADISIの2012年経済学論文ランキングから今日は第4位の論文を紹介してみる(論文のタイトルは「Institutions, Economics and the Development Quest」で、著者はポルト大学のDuarte N. Leite、Sandra T. Silva、Óscar Afonso)。 以下はその要旨。 Institutions, crucial for the analysis of how agents deal with uncertainty, have been gaining increasing relevance on the Economic research agenda. In this paper, we analyze the institutional literature that provides insights into d

                                                新制度学派経済学への招待 - himaginary’s diary
                                              • それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ

                                                実質GDPが過大評価されるということはどういうことか (承前)さて、本書の59ページ図表9では、中国経済の公式統計が様々な「疑惑」を抱えていることをもって、「中国の実質GDP成長率が1985年以降の30年間、毎年3%水増しされている」という「控えめな」仮定をおいたとしても、実際のGDPは公式統計の3分の1であり、日本を下回ってGDPは世界第3位になる、と述べている。言うまでもなく、この主張は本書のタイトルの根拠にもなっている。ただ悪いけど、これは典型的な「ダメな議論」だと思う。 「中国のGDP統計に怪しいところがある」というのは事実だし、「年によっては実質成長率が数%過大に評価されている」ことも十分あり得る話だ。だからといってそこから「30年もの長期にわたって3%過小評価され続けている」という結論は、どうやったって出てこない。 そもそも、「実質GDP成長率の水増しが少しずつ重なって、最終的

                                                  それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ
                                                • トランプ勝利の責任の一端は経済学者にもある - himaginary’s diary

                                                  とダニ・ロドリックがProject Syndicateで書いている(H/T Mostly Economics)。 Are economists partly responsible for Donald Trump’s shocking victory in the US presidential election? Even if they may not have stopped Trump, economists would have had a greater impact on the public debate had they stuck closer to their discipline’s teaching, instead of siding with globalization’s cheerleaders. ... There is always a risk t

                                                    トランプ勝利の責任の一端は経済学者にもある - himaginary’s diary
                                                  • 米国の債務上限問題と日本の消費増税の違い - himaginary’s diary

                                                    クルーグマンが「ケインズは徐々に勝利を収めつつある(Keynes Is Slowly Winning)」(邦訳)というエントリを先月末に書いたのに対し、タイラー・コーエンが「ケインズは徐々に敗北しつつ(勝利を収めつつ?)ある(Keynes is slowly losing (winning?))」という反論をMRブログで書いた。これにクルーグマンがサイモン・レン−ルイス経由で反応し、自分はケインズ経済学の主張の長所――それは常に絶大だった――ではなく世論での扱いについて書いたのだから、コーエンの反論は的外れで、間違った質問に対する間違った答えだ、と斬って捨てた。 一方、ノアピニオン氏もブルームバーグ論説でコーエンの反論に反応し、それにさらにAngry Bearでロバート・ワルドマンが反応した。コーエンの反論は15項目あったが、ノアピニオン氏はそのうちの特にケインズ経済学が俎上に乗った7項目

                                                      米国の債務上限問題と日本の消費増税の違い - himaginary’s diary
                                                    • 経済学者と彼らの権力との関係について知っておくべきこと - himaginary’s diary

                                                      これまで紹介してきたStormのINETインタビューでは、冒頭で主流派経済学を批判している。具体的には、「What do we need to know about economists and their relationship to power?」というインタビュアーの質問に対し、以下のように答えている。 In a brief moment after financial crisis, mainstream economists did some soul-searching and rethinking. But once the economy stabilized (somewhat) thanks to large-scale government support, most went back to “normal,” rebuilding their professio

                                                        経済学者と彼らの権力との関係について知っておくべきこと - himaginary’s diary
                                                      • 日本の鏡像としてのカナダ - himaginary’s diary

                                                        Worthwhile Canadian InitiativeのStephen Gordonのこの4/5エントリが面白い。ここで彼は、2002年第1四半期から2008年第3四半期までのカナダの実質GDPの伸びを分解し、クルーグマンが示した日本のGDPの伸びの要因分解と対照させている(ただ、さすがにクルーグマンのようないい加減な図ではなく、GとIを独立して表示している)。日本とは逆に、カナダはこの間の純輸出の経済成長への寄与度がマイナスとなっている。 実は本当に面白いのはこのエントリ自体ではなく、ここからリンクが張られている3/11エントリである。そこでGordonは、この純輸出のマイナスの寄与が生じたメカニズムを分かりやすく説明している。以下にその説明を要約してみる。 カナダは一次産品輸出国なので、2002年以降の商品価格上昇の恩恵を被った。ビールとピザという2財モデルでその仕組みを説明して

                                                          日本の鏡像としてのカナダ - himaginary’s diary
                                                        • 非線形効果か、ハーディング現象か? - himaginaryの日記 注1

                                                          クルーグマンとブランシャールが原油価格低下の影響について対照的な見方を示している。 1/16ブログエントリでクルーグマンは、原油価格低下は経済にとって良いことだ、という一般的な見方に12/4の段階で懐疑論を示していたことに触れつつ、現状に鑑みるとそれでも十分に懐疑的ではなかったかもしれない、という、半ば自慢、半ば自省の弁を述べている(H/T Economist's View)。 当該の12/4エントリでクルーグマンは、現在の米国の原油輸入比率が歴史的に見て高い水準にあることについて注意喚起した上で、シェールが原油価格の影響の性格を変えてしまったかもしれない、という見方を示している。 Because we once again have a significant sized domestic oil industry, falling prices now create losers as

                                                            非線形効果か、ハーディング現象か? - himaginaryの日記 注1
                                                          • 日本経済は39-43歳の人口層で決まる - himaginary’s diary

                                                            "The Great Bust Ahead"という本の宣伝ページに以下のような図が掲げられている(ワシントンブログ経由)。 図に付けられている説明文を訳すと次のようになる。 日本の1990-2003年の深刻な経済不況は、同様*1の人口との関係によって生じたのか? データはそうであることを示している。チャートは日本政府の統計に基づいている。この図では、インフレ調整済み日経平均と、41歳を中心とする5歳区切りの人口層を描いている。日本の労働省(ママ)によると、大企業では労働者が50歳に達するまで賃金が上昇するが、小企業ではそれが40歳である。そして米国と同様、労働者の圧倒的多数は小企業に勤務しているので、日本の労働者の支出が多い年齢は米国より数年はやく、おそらく41歳近辺だろう。米国の図と同様、インフレ調整済み日経平均(経済)は当該人口の低下に沿って動いている。2003-4年には当該人口は上昇

                                                            • 誰が殺したフィリップス曲線? ある殺人ミステリー - himaginary’s diary

                                                              というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Who Killed the Phillips Curve? A Murder Mystery」で、著者はFRBのDavid RatnerとJae Sim。 以下はその要旨。 Is the Phillips curve dead? If so, who killed it? Conventional wisdom has it that the sound monetary policy since the 1980s not only conquered the Great Inflation, but also buried the Phillips curve itself. This paper provides an alternative explanation: labor market policie

                                                                誰が殺したフィリップス曲線? ある殺人ミステリー - himaginary’s diary
                                                              • 20号爆弾 - himaginary’s diary

                                                                ここのネタが少し面白かったので訳してみる*1。 欧州委員会 これは何だ? 爆弾のようだぞ! 欧州中央銀行 爆弾であるはずが無い! 当方の分析官は爆弾であるはずが無いと報告している! データも爆弾では無いことを示している! 明らかに我々の集団幻想の産物で、実際にはおそらく皿に盛られたバラだ。 市場 [現場から捌けながら]逃げろぉぉぉぉぉ・・・ フランス ちなみにこれが爆弾だとした場合、何をすべきなのだ? こうした事態への対応手順はあるのか? 皆 [欧州連合の聖典を参照して]世界に向かってこれは爆弾では無いと宣言すれば、これは爆弾では無くなるのだ!!! フランス まだカチカチ言っているぞ! 画面に表示されている数字も小さくなり続けている。 イタリア (失神する) 欧州委員会 なら画面表示を止めろ!!! [欧州連合は空売りを禁止し、表示画面をタオルで覆う] 欧州委員会 画面が見えなくなった今、爆

                                                                  20号爆弾 - himaginary’s diary
                                                                • ワクチン義務化が感染拡大に与える影響:カレッジのコロナワクチン義務化の実証結果 - himaginary’s diary

                                                                  というNBER論文が上がっている。原題は「The Effect of Vaccine Mandates on Disease Spread: Evidence from College COVID-19 Mandates」で、著者はRiley K. Acton(マイアミ大)、Wenjia Cao(ミシガン州立大)、Emily E. Cook(テュレーン大)、Scott A. Imberman(ミシガン州立大)、Michael F. Lovenheim(コーネル大)。 以下はその要旨。 Since the spring of 2021, nearly 700 colleges and universities in the U.S. have mandated that their students become vaccinated against the COVID-19 virus.

                                                                    ワクチン義務化が感染拡大に与える影響:カレッジのコロナワクチン義務化の実証結果 - himaginary’s diary
                                                                  • 20年後のIt’s Baaack - himaginary’s diary

                                                                    という小論をクルーグマンが書いている(H/T デロング1、デロング2)。以下はその中のアベノミクス評。 If the worst economic crisis since the 1930s, one that cumulatively cost advanced nations something on the order of 20 percent of GDP in foregone output, wasn’t enough to provoke a monetary regime change, it’s hard to imagine what will. This in turn might seem to suggest that while monetary policy could in principle offer a solution to the proble

                                                                      20年後のIt’s Baaack - himaginary’s diary
                                                                    • バーナンキ背理法批判へのバーナンキからの“回答” - himaginaryの日記

                                                                      昨日結論部だけを訳した2003/5/31のバーナンキ日本講演であるが、「リフレと金融政策」で既に高橋洋一氏による訳が出版されていることに気付いた。また、その中に、最近の池尾和人氏や岩本康志氏の疑問に対する7年前のバーナンキからの回答と読める箇所があることに気付いたので、以下に(原文と合わせて)引用しておく。 I am intrigued by a simple proposal that I understand has been suggested by the Japanese Business Federation, the Nippon Keidanren. Under this proposal the Ministry of Finance would convert the fixed interest rates of the Japanese government bon

                                                                        バーナンキ背理法批判へのバーナンキからの“回答” - himaginaryの日記
                                                                      • 俺たちに明日はない - himaginary’s diary

                                                                        FT Alphavilleのイザベラ・カミンスカが、金融危機が実体経済の「大停滞」に起因する、という見方を10/3エントリで示している(本石町日記さんツイート経由の前日エントリ経由)。 You could say, the economic system in this way revolves around incentivising people to delay consumption in the hope that there will always be more tomorrow than today, but without a full guarantee that there will be. If Martin Wolf’s column on Wednesday is right, however, we may now be slipping towards a

                                                                          俺たちに明日はない - himaginary’s diary
                                                                        • スウェットショップについての経済学者の話は全部間違いだった - himaginary’s diary

                                                                          というNYT論説をChristopher BlattmanとStefan Derconが書いている(原題は「Everything We Knew About Sweatshops Was Wrong」;H/T Economist's View、ブラットマンブログ)。 クルーグマンの「In Praise of Cheap Labor」Slate論説に代表されるように、劣悪な条件下の低賃金労働でも無いよりましで、かつ、経済発展のためにそれは必要、というのが経済学者に広く受け入れられた考え方となっている。著者たちもその前提でランダム化実験に臨んだが、結果は予想を裏切るものになったという。 以下は同論説の元となった論文の要旨。 As low-income countries industrialize, workers choose between informal self-employment

                                                                            スウェットショップについての経済学者の話は全部間違いだった - himaginary’s diary
                                                                          • クルーグマンと日本共産党の共鳴? - himaginary’s diary

                                                                            最近、クルーグマンが労働分配率の低下について時折り書いており、それをMBK48さんが訳されている(ここ、ここ、ここ、ここ、ここ)。 そのうちの6/30エントリはクルーグマンの6/21ブログエントリを訳されたもので、さらにMBK48さんによる分かり易い経済学の解説が付け加わっている。そこで示されたクルーグマンの問題意識を小生なりに単純化して解釈すると、次のようになる。 国民所得は、分配面から以下の3項目に分解できる。 国民所得=労働所得+資本所得+超過利潤 ここで超過利潤は完全競争の場合には発生しないが、不完全競争の場合は発生する。その結果、労働所得のみならず資本所得も減少しているのではないか、というのがクルーグマンの第一の問題意識である。 その場合でも、超過利潤が設備投資に回って経済のパイの拡大に貢献しているならばそれほどの問題とはならないかもしれない。しかしアップルに見られるように、企業

                                                                              クルーグマンと日本共産党の共鳴? - himaginary’s diary
                                                                            • ヒーローになる時、それは今 - himaginary’s diary

                                                                              昨日紹介した、マクロ経済学では実験で論争の決着を付けることができない、というノアピニオン氏の主張を受けて、氏の博士論文の指導教官であり、先々月末から「Confessions of a Supply-Side Liberal / Partisan Nonpartisan Blog(サプライサイド・リベラルの告白:無党派党派のブログ)」と題したブログを始めた*1マイルス・キンボール(Miles Kimball)が、だったら日本で実験すればいいじゃん、と熱湯よが聞いたら湯気を立てて怒りそうなこと*2を書いている(エントリの原題は「Future Heroes of Humanity and Heroes of Japan」;Economist's View経由)。 ...massive balance sheet monetary policy on the part of the Bank of

                                                                                ヒーローになる時、それは今 - himaginary’s diary
                                                                              • 経済学における大きな事実 - himaginary’s diary

                                                                                少し前にクリス・ディローが以下のようなことを書いている。 Unlearning Economics has a nice piece on the limits of sophisticated empirical techniques and the virtues of eyeball econometrics, reminiscent of Dave Giles’ advice “Always, but always, plot your data.” One extension I’d make to this is the importance of Big Facts. Sometimes, it’s more important that a theory explain a single important fact – or at least be consistent

                                                                                  経済学における大きな事実 - himaginary’s diary
                                                                                • 長期主義の弊害 - himaginary’s diary

                                                                                  5年半前に、小生は本ブログで以下のようなことを書いた。 …おそらく当初は皆バブル崩壊に伴って生じた需要不足という見方で概ね一致していたのだろうが、不況が長引くにつれ「いや待てよ、これだけ長引くならば単なる一時的な需要不足の問題ではないだろう、もっと根本的な構造問題なのではないか」という見方が広まっていったのではないか。そして遂には、従来の経済学における需要喚起策をむしろ有害無益であるとして捨て去り、日本独自の経済構造の指弾にのみ焦点を合わせる、という見解が力を得ていったのであろう。 そう考えると、米国の経済学界でも、現在の景気低迷が長引けば、ひょっとすると日本と似たような構図が現われるかもしれない。既にアーノルド・クリングの再計算理論などにその萌芽は見られる。願わくば、そうした状況が生じる前に米国の景気が回復してほしいものだが…。 レーガノミックスは経済成長をもたらしたか? - himag

                                                                                    長期主義の弊害 - himaginary’s diary