【ソウル米村耕一】北朝鮮で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による体制が発足して以降、薬物犯罪が党のエリート層も含め広範囲に広がり続けていることが、毎日新聞が入手した秘密警察「国家保衛省」が開いた講演記録で明らかになった。金委員長の時代に入って北朝鮮は核・弾道ミサイル発射実験を繰り返して対外的には強硬姿勢を続け、国内では住民の統制を強化している。だが、国連制裁により経済が圧迫されるにつれ反社会的行為も広まりつつあり、講演記録でも「このまま増えていけば祖国という大きな家が崩れる」と麻薬や覚醒剤がはびこる事態に危機感を強めている。 入手したのは昨年夏ごろに国家保衛省(当時は国家安全保衛部)が平安南道(ピョンアンナムド)の中規模都市で開いた住民向け講演を記録したもの。 昨年5月に36年ぶりに開催された第7回党大会に向けて展開されていた増産運動「70日戦闘」の期間中、この都市の麻薬密売者だ