3 争点(3)〔原告らの権利ないし法的利益と侵害について〕 (1)原告らは、本件戦没者との家族的人格的な紐帯を基礎として、遺族の近親者に対する「追悼の自由等」は、故人の人格的存在に不可欠であり、その精神的営みが他者の行為によって乱されることからも保護されると主張する。 ア 人が自らの心情や信条に基づいて何人かを追慕する自由は、誰にでも保障されており、遺族においても、いかにして自らが近親者を敬愛追慕するかを決定する自由等については、この保障の範囲とされるべきものである。 しかしながら、他者の宗教的行為との関係で、人が自己の信仰生活の静謐を他者の宗教上の行為によって害されたとし、そのことに不快な感情をもち、そのようなことがないよう望むことのあるのは、その心情として当然であるとしても、かかる宗教上の感情を被侵害利益として、直ちに損害賠償を請求し、又は差止めを請求するなどの法的救済を求めることがで