関係(性)の芸術。作品の内容や形式よりも「関係(relation)」を重んじる芸術作品を総称的に示す言葉として、1990年代後半より広く用いられるようになった。ここでの「関係」という言葉は作品と鑑賞者とのあいだに生じる関係を指すようにも思えるが、この場合どちらかと言えば作品の制作過程で生じる周囲との接触関係のほうに重点が置かれていると言えるだろう。なぜならリレーショナル・アートは、ある状況や出来事を生み出す過程、およびそれにともなう人々の「参与(participation)」をその本質とするからである。この点においてリレーショナル・アートは、鑑賞に際する「作品」と「鑑賞者」との相互作用を重視するインタラクティヴ・アートとは区別される。以上の意味でのリレーショナル・アートは、フランス出身のキュレーターであるニコラ・ブリオーが90年代に開催した「トラフィック」展や著作のなかで用いたことにより、