「あんただけ先には行かせへんで。私もすぐに行くよ」。今年2月、寝たきりの夫=当時(84)=の腹に深々と包丁を突き立てた妻(83)は、静かにつぶやいた。大阪府枚方市の自宅で介護していた夫を刺殺したとして殺人罪に問われた妻に、大阪地裁は裁判員裁判の判決公判で、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の温情判決を言い渡した。結婚以来60年間、仲むつまじく連れ添った夫婦の運命は一体、どこで狂ったのか。 ■献身的な介護 9月6日、大阪地裁の602号法廷。妻は杖をつきながら小柄な体を証言台に進め、正面を見据えて判決主文に聞き入った。法廷での被告人質問で吐露した夫婦として過ごした日々と事件にいたる経緯が脳裏をよぎっていたのだろうか。 夫婦は昭和24年に結婚。時には無理難題を言い出す夫を妻は献身的に支えてきた。夫が残業後に突然、会社の部下を自宅に連れてきたときも嫌な顔をせずもてなした。夫が趣味の釣りに
12日午後2時55分頃、札幌市南区藤野1の9、無職下川原実さん(80)方で、下川原さんと妻フクヨさん(74)が死亡しているのを親族の女性が見つけ、119番した。 フクヨさんの首には手で絞められた痕があり、札幌南署は、下川原さんが無理心中を図ったとみている。 下川原さんはフクヨさんと2人暮らし。フクヨさんは、厚生労働省が特定疾患(難病)に指定している「筋萎縮性側索硬化症」で、寝たきりの状態で下川原さんらが介護をしていたという。居間のテーブルには「自分も寝たきり状態になることを考えると、恐怖で一杯」と書かれたノートの切れ端が残されており、同署は下川原さんが書いたとみている。 発表によると、下川原さんは敷地内の納屋の棚にヒモで首をつっていた。フクヨさんは寝室の布団の中で死亡しており、顔にはタオルがかけてあった。
尊厳死や在宅看取りに関する知識の普及啓発のため、日本尊厳死協会関西支部大会内で開かれた。 ◆「尊厳死」 「尊厳死」について同協会は「不知で末期の患者が本人の意思に従い、生命維持装置による延命治療を断るが、痛みの除去などの十分な緩和ケアを受け、人としての尊厳を保ちつつ、安らかに自然死を遂げること」と定義しており、「死を早める積極的安楽死や自殺幇助を尊厳死とは考えない」としている。 尊厳死に関する各国の動きは、1981年に世界医師会がリスボン宣言で尊厳死を容認し、1992年には日本医師会も容認。オランダには安楽死法(2001年)、フランスには終末期患者の権利法の「レオネッティ法」(2005年)など、各国の考え方や基準による「尊厳死」を認める法律がある。日本では現在、患者が自ら延命治療の中止を望んだ場合であっても医師が治療を差し控えらると罪に問われる可能性がある。これまでにも、家族の了承を得て呼
2年前、「国民の生活が第一」と連呼して政権に就いた民主党。変節に変節を重ねてさすがに使いづらくなったかと思いきや、先般の首相交代劇でもこの言葉が飛び交いました。「『国民の生活が第一』の原点に立ち返る」(13日、野田佳彦首相の所信表明演説) 小宮山洋子厚労相も就任後の記者会見(5日)で意気込みました。「国民の生活が第一」の立場で「政策を進めるということが今回の内閣の使命」。 記者に問われ 民主党政権の2年間を経験した国民としては、こうしたスローガンを額面通り受け取る気分ではないでしょう。厚労相もその場で記者から問われました。政権公約だった「介護労働者の賃金4万円引き上げ」に「どのように取り組んでいくお考えか」。 思い起こせば2009年、民主党は国の予算の「全面組み替え」で財源をつくり、介護事業者への報酬を加算して介護労働者の賃金をアップすると公約しました。12年度にこの公約を完全実施するとの
トップ > 特集・連載 > 介護社会 > 記事一覧 > 5月の記事一覧 > 記事 【介護社会】 <看取りビジネス>続編(上) 安易な胃ろう疑問 2010年5月15日 入院する病院で胃ろうを利用する患者=名古屋市で 「本当にやって良かったのかなあ、と思うことがあるんです」 病院のベッドで横たわる夫の隣で女性は打ち明けた。60代の夫は3年前、脳出血で倒れ、そのまま寝たきりに。食べ物ものみ込めず、医師に「餓死する」と言われ、胃に穴を開けて直接栄養を送り込む「胃ろう」を設けたという。 3度の転院を繰り返してようやく1年前、名古屋市内の療養型病床に落ち着いたが、回復の見込みもなく横たわる夫の姿に、女性の思いは揺れる。 脳出血の後遺症や認知症で食事が取れなくなり、胃ろうを設ける患者は現在、年間で20万人に上るとされる。危険を伴う外科手術に代わって安全、簡便な内視鏡手術が普及したことでここ20年近くで急
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く