前回の原稿で書いた通り、11月9日、厚生労働省は今年7月の生活保護受給者の数を発表した。で、その数字は予想通り「過去最多」、205万人であった。 言うまでもなく、このことはこの国に「貧困」が拡大していることを表している。しかし、「生活保護受給者が増える」=「悪」「何か怠けている人に税金が使われる」というイメージを持つ人も少なくないのではないだろうか。また、そういった報道がなされることも充分あり得る。ちなみに過去、暴力団による生活保護の不正受給が大きく報道されたことがあった。その結果進んだのは、福祉事務所での「水際作戦」だ。本当に困っている人までもが最後のセーフティネットから排除され、結果、北九州市では餓死事件まで起きたことは記憶に新しい。もちろん、不正受給はあってはならないことだ。しかし、それが報道によって殊更に強調されたことが、結果的には餓死事件に繋がってしまった側面は否定できないのでは