命の不安と闘っている難病患者は多い。公的介護をめぐるある難病の訴訟で、患者側の願いをかなえた判決が出た。現状は行政の運用で差があり、患者の実態や苦痛を見極めた誠実な対応を望む。 判決は和歌山地裁で四月末にあった。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の介護サービスの提供時間について、老妻と二人暮らしの七十代男性患者が「一日二十四時間」を求めて和歌山市を訴えていた。 高橋善久裁判長は、十二時間しか認めていなかった市の決定では患者の命に重大な危険が及ぶと指摘。市の「裁量権の逸脱で違法」とし「最低二十一時間は必要」と時間延長を命じた。市の決定は憲法が保障した生存権に反する、と断じたに等しい。